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渡辺side
扉を開けて目に飛び込んできたのは、教室の隅で丸くなって泣きながら耳の辺りを抑えている亮平くんと、その前に亮平くんを守るように手を広げて立つ目黒。
その目黒の胸元を掴んで揺さぶっているのは、うちのクラスの問題児。
もう2人、目をつけていた取り巻きみたいな男の子たちは笑いながら亮平くんの手を引っ張っている。
渡辺「おい！何してんだ！」
思わず出たデカい声。
問題児3人が怯んで固まった瞬間、佐久間先生は亮平くんに駆け寄り、亮平くんの腕を掴む2人を振り解いて抱きしめる。
渡辺「目黒から手を離せ…早く！」
「…うざっ」
小学校3年生にしては生意気なコイツは、たしか中学生の兄がいたはず。
悪影響ばっかり受けやがって、と思いながら目黒に駆け寄る。
安心したのか、目黒もぼろぼろと涙をこぼし始めた。
今は、この3人より目黒たちのケアが優先。
俺のクラスの子たちだから名前もわかるし、あとで話をして保護者に連絡だな。
渡辺「目黒、大丈夫か？痛いとこない？」
目黒「…なぃっ」
渡辺「亮平くんを守ってくれたんだな。ありがとう、目黒は強いな〜！」
そう言って、目黒を抱き寄せると。
目黒「…っうあぁぁぁぁぁ〜〜〜！」
大きな声をあげて泣き出した。
同い年とはいえ、成長がゆっくりな亮平くんと、早生まれの目黒は、あの子たちとかなり体格差があった。
本当はすごくすごく怖かったはずなのに、亮平くんを守りたい一心で、前に立って、しかも自分からは手を出さずに頑張ったんだな。
さらに強い力でぎゅっと目黒を抱きしめる。
佐久間先生の方を見ると、亮平くんはかなりパニック状態になってて、落ち着くには時間がかかりそう。
「渡辺先生」
通りかかったのか、うちの学年の主任が問題児たちが教室から出ないように扉の前に立ちはだかってる。
この学校イチ怖いと言っても過言ではない先生の登場は想定外だったみたいで、あの3人は小さくなっていた。
「何あったのか分かんないですけど、とりあえずこの3人職員室の隣の教室連れてきますね」
渡辺「ありがとうございます。そいつら目黒と亮平くんに手を出してるんで。あとで詳しい状況は説明します」
「なるほど、了解です」
3人が連れられて出て行ったのを確認して、目黒に向き直る。
必死で目を擦る目黒は落ち着いたのか、ゆっくりとしゃがみ込んで亮平くんの方に向いた。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
