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佐久間side
阿部ちゃんの意思を最後まで確認して、話し始めたふっか。
少しの異変でも気づけるようにかな、阿部ちゃんとの手は握ったまま。
深澤「阿部ちゃんね、ちょっと、人より感受性が豊かで感覚が過敏なところがあって。例えば、ちょっと機嫌が悪い人が近くにいると、不安な気持ちになったり、人間関係だけじゃなくて、環境が変わると、心がついて行かなくて、頑張りすぎちゃって、その頑張りすぎてることにも自分で気付かなかったりするの」
なるべく高校生の岩本くんにも伝わるように、噛み砕いて説明する。
伝わっているのか、岩本くんも真剣な表情で頷いている。
深澤「それでね、阿部ちゃんは昔ちょっと強いストレスに晒されてた時期があって。特に不安定になりやすい子なの。今朝、阿部ちゃんが自分の行動を覚えてなかったの、びっくりしたよね？」
岩本「…はい」
深澤「阿部ちゃんはね、ストレスが溜まると…例えば、言葉がうまく出てこなくなって、自分の気持ちを伝えられなくなったり、痛みで誤魔化そうとして、壁に頭を押し付けたり、ひどいと、今朝みたいに無意識な行動が出ちゃったりするの」
岩本くんの眉に皺が寄る。
深澤「それでね、同室の岩本くんにお願いがあって」
岩本「はい」
岩本くんは、何かを覚悟したように、背筋を伸ばす。
深澤「もし、阿部ちゃんが今言ったみたいな行動をしたら、佐久間に連絡して欲しい。なるべくこっちでも把握できるように阿部ちゃんと連絡は取ってるんだけど、阿部ちゃんも全部自覚できるわけじゃないから、今日みたいなことがあるかもしれない。
今日は自分で行けたみたいだけど、頭が回らなくて判断力が鈍ることが多いから、様子がおかしいなって思ったら、お部屋行く？って聞いてあげて欲しいな。お部屋っていうのは、今日阿部ちゃんがいた寮の一角ね」
岩本「…はい」
肩に力が入っている岩本くん。もちろんふっかもそれは気づいていて。
深澤「ここからが大切な話。阿部ちゃんも、聞いててね。」
改めて阿部ちゃんの手を握り直すふっか。
不安そうに揺れる阿部ちゃんの瞳が落ち着くのを待ってから、また話し出した。
深澤「阿部ちゃんに何かあったからって、岩本くんが責任を感じる必要はないし、岩本くんも、阿部ちゃんといてしんどいなって思うことがあったら遠慮なく佐久間に言って欲しい。共倒れはしてほしくないし、岩本くんは岩本くんの生活があるから、阿部ちゃんに対して責任を持つ必要はないよ」
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
