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岩本side
なんとなく筋トレにも身が入っていないのを自分でも感じて、今日は早めに切り上げた。
部屋に戻っても、阿部の姿はない。
シャワーを浴びて、髪を乾かして、夕飯の時間まで何をしようかと思っていた時。
トントン、と部屋をノックする音。
阿部は鍵を持っているし、誰だろう、と覗き穴を覗くと、今朝会った、佐久間先生の姿。
慌てて鍵を回して、扉を開ける。
佐久間「あ、よかったいたぁ」
岩本「…どうも」
佐久間「阿部ちゃん、落ち着いたから寮に戻ってくるって。でもちょっとその前に話があって、一緒に病院来てくれる？もちろん、岩本くんが嫌だったら断っていいよ。今朝は突然巻き込んでごめんねぇ？びっくりしたよね」
そういう佐久間先生だけど、俺の心はもう決まっている。
岩本「俺ができることがあるなら、阿部の支えになりたいです。」
まだ出会って半年も経ってないけど、守らなきゃって、そう思った。
阿部の優しさには、何度も安心させられ、助けられている。
何か力になれるなら、なんでもよかった。
佐久間「…ありがとね」
佐久間先生は嬉しそうに俺を見る。
その後、佐久間先生の車で向かった病院。
通された部屋は、寮のカウンセリングルームより柔らかい雰囲気で、床にはマットがひいてあったり、可愛らしいキャラクターものが置いてあったり。
その奥にはカーテンで仕切られた一角があって。
そこに阿部がいるんだって、すぐ分かった。
佐久間「ちょっとそこ座ってまっててね」
岩本「はい」
小さな丸椅子に座るけど、なんとなくそわそわ。
カーテンの向こうから、静かな話し声が聞こえた。
深澤「阿部ちゃん、岩本くん、来てくれたって。お話できそう？」
たっぷり無言の時間があった後、ん、という阿部の声が微かに聞こえた。
佐久間「カーテン、開けていい？」
阿部「…うん」
今度は、もう少しはっきり、返事の声がする。
ゆっくりと開いたカーテンの向こうには、ベッドのリクライニングにもたれかかって、佐久間先生と別の先生に手を握られた阿部の姿があった。
深澤「岩本、くん？初めまして。深澤辰哉っていいます。ふっか先生って、みんなは呼んでくれてる」
岩本「岩本、照です。」
深澤「よろしくね〜…阿部ちゃん、さっきのお話、岩本くんにするよ？」
阿部「…うん」
ちらっと、俺に視線を向けた阿部だけど、すぐに逸らされてしまう。
何を話されるんだろうとドキドキしていると、深澤先生が話し始めた。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
