検索窓
今日:7 hit、昨日:37 hit、合計:225,562 hit

8 ページ22

阿部side

車椅子を押されて、身体が揺れる。

ついた部屋は、馴染みのある、小児科のカウンセリングルーム。

本当は俺はもう成人病棟なんだけど、こっちの部屋の方が馴染みがあるし、落ち着くし、というのをふっか先生も気づいてるんだろう。

主治医がふっか先生なのをいいことに、俺はこっちの部屋を使わせてもらうことが多い。

深澤「横になる?」

阿部「…ん」

深澤「わかった、ちょっとごめんね」

俺の両脇にふっか先生は腕を通し、背中に手を回す。

自分の足の力も使って、ベッドに座り、そこからは自分で足を上げて、上半身はふっか先生がゆっくりとベッドに倒してくれた。

そして、右手に感じる体温。

だんだんと気持ちが落ち着いてきて、ゆっくりと息ができるようになった。

深澤「今は夏休み?」

阿部「…うん」

深澤「昨日、寝落ちちゃった?メールなかったみたいだね」

阿部「…ごめんなさい」

怒ってるかな、と思ったけどふっか先生はそういう意味じゃないよ、と優しくお腹をぽんぽんしてくれる。

深澤「調子悪かった?」

阿部「…わかんない、」

深澤「そかそか。ちょっとずつ、疲れが溜まってっちゃったのかもね」

決して調子がいいわけでもなかったんだけど、眠れてたし、ご飯も食べれてて。

だから、こんなに調子を崩した自分に、びっくりしている。

深澤「夏休み、宿題いっぱい出た?」

阿部「…でた、けど、もう、ない」

深澤「終わったってこと?」

阿部「…うん」

深澤「はやいね」

そう言われて、壁に掛かっているカレンダーに目を向ける。

夏休みに入って、2週間。

することもなかった俺は、毎日宿題に向き合っていた。

深澤「おやすみ、なにしていいかわかんなかった?」

阿部「…うん」

深澤「そっか。それで、色々考えちゃった?」

ふっか先生の言葉で、なるほど、と思った。

確かに最近、することがなくぼぉっと部屋にいた俺は、廊下から聞こえる話し声や、音に敏感になっていたかもしれない。

そして、生徒会に入ったり、成績が前期トップだったりして、名前が一人歩きしているのにも気がついていた。

拙い言葉で、それをふっか先生に伝える。

ふっか先生は、心配そうに俺を見つめた後、柔らかい笑顔に戻って、頑張ったね、と頭を撫でてくれた。

深澤「調子悪いって気づいて、寮の、落ち着くお部屋自分で行けたんだもんね?えらいよ」

その言葉で、ハッと思い出す、彼の顔。

どうしよう、どうしようと、頭がいっぱいになった。

9→←7



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (103 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
452人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 病系 , 阿部亮平   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みお | 作成日時:2023年2月10日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。