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佐久間side
自分の髪を引っ張ったり、足をばたつかせたり。
今日の阿部ちゃんは、相当きていたのか、なかなか落ち着かなかった。
あんまり使いたくないんだけど、ふっかにもらっている頓服薬を無理矢理飲ませると、だんだんと力が弱くなっていき、すっと眠りについた。
そこで岩本くんを待たせていることを思い出して、部屋を出る。
本当は阿部ちゃんに、同室の岩本くんが心配してたよ、頼ってもいいんじゃない？って、言うつもりだったんだけど、ちょっと今日は厳しそう。
佐久間「ごめんね、お待たせ〜」
カウンセリングルームの部屋を開けると、落ち着かなかったのか立っている岩本くん。
その視線は俺の顔の少し下。
佐久間「ん？」
岩本「あの、腕…」
そこには、無数の引っ掻き傷。
うわ〜気づかなかった、
佐久間「大丈夫、大丈夫。心配しないで」
岩本「あの、阿部は…」
佐久間「ちょっと、今日は無理っぽい。夏休みだし、俺午後から別の学校行かなきゃだから、一旦病院連れてくよ」
と、ここまで言葉にして、そういえば、彼は何も知らないんだった、と思い出す。
きょとん、とした顔の彼。
佐久間「あ〜…阿部ちゃんから、なんも聞いてない、よね？」
岩本「たぶん…なにも、」
佐久間「そうだよね〜、どうしたもんかな…もーちょい、阿部ちゃんが落ち着いたらちょっとまた岩本くんと話がしたいかも。それまでは、もうちょっと待っててくれる？」
岩本「…はい」
あんまり納得いってない様子だけど、俺から勝手に話せるものでもないし、一旦様子見。
佐久間「これ、俺の連絡先なんだけど、もし、阿部ちゃんが何かあったら、すぐ連絡欲しいかも。今日は一旦かかりつけの病院連れてって、様子見て帰らせるか入院か、って感じだから」
じっと、俺の名刺を見つめる岩本くん。
小さく頷いたのを確認して、今日は別れた。
そして、阿部ちゃんの眠っている部屋に戻る。
まだ寝息を立てていることを確認して、電話をかけた。
深澤「はい、もしもし〜」
佐久間「あ、ふっか？佐久間だけど、今平気？」
深澤「うん、だいじょぶ。阿部ちゃんどうだった？」
昨日のメールがなかったことも、朝様子を見にいくことも伝えてたから、心配そうな声。
さっきの様子を伝え、病院に連れて行く旨を伝える。
深澤「りょーかい。俺は今日1日病院いる予定だから、受付で俺の名前伝えて呼んでもらえる？」
佐久間「わかった、俺午後から仕事あるから、今から行くね」
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
