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目黒side
笑顔で言葉を紡ぐ阿部ちゃんは、どんどん息が上がっていく。
深澤「阿部ちゃん。落ち着いて聞いて。阿部ちゃんはいい子だよ。とってもいい子。みんなに優しいよね。佐久間にお勉強教えてあげたり、一緒にアニメ見たり、風邪ひいたときはお手伝いしてくれたり、お弁当箱自分で洗ってくれたり。俺は阿部ちゃんがいい子なの、知ってるよ。」
ぼんやりと“阿部ちゃんはいい子”というのを伝えるのではなく、具体的な行動を挙げていくふっかさん。抱きしめていた身体を少し離して、阿部ちゃんとしっかり目を合わせる。
深澤「でもね、いい子すぎて、俺は心配だな。お勉強、疲れたら疲れた！って教えてほしいし、具合悪いな、頭痛いなって思ったら、教えてほしい。学校行きたくないな、嫌なことされて困ってるなって思ってるなら、教えてほしいな。」
ふっかさんは、そう言うと、ぎゅっと、強く、阿部ちゃんの手を握った。
しばらくの沈黙。
阿部ちゃんは笑顔のまま。でも、何も言わない。
ふっかさんは、待ってる。阿部ちゃんが、自分でSOSを出すのを。
実際の時間はわからないけど、たっぷり、十分すぎるほどの時間が経った頃。
阿部「…学校、いき、たく、な、い」
ゆっくりと言葉にしたSOSを、俺らはしっかりと受け止めた。
深澤「自分の気持ち、言えて偉いね。学校には、俺が連絡しておくからね。阿部ちゃんは心配しなくていいよ。ゆっくり俺らとお休みしよう」
まだ、笑顔のままの阿部ちゃん。心をほぐすには、どれだけ時間がかかるかわからない。
そこまで言葉を引き出して、これ以上は無理と判断したのか、阿部ちゃんが疲れているのに気を遣ったのか、今日のお話しはここまでにしようか、とふっかさんは言った。
深澤「少しここでお休みする？疲れちゃったよね」
阿部「んーん、大丈夫」
そう言いながらも、重たそうな瞼を必死で開けているのがわかる。
深澤「ふっかさんずっとここにいるから、少し寝よっか。大丈夫、いなくなったりしないよ」
少し強引だけど、ベッドに横にさせると、ものの数分で、静かな寝息が聞こえてきた。
深澤「ふぅ…あっ、ごめんめめ、若干存在忘れてたわ」
目黒「いえ…俺も、何も言えなくてすみません。どうしたらいいか、全然わかんなくて」
深澤「最初はそんなもん。ちょっとでも参考になった？」
目黒「はい、とっても」
深澤「よかった、阿部ちゃんのケアも、これからあるから、頼んだよ」
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
