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目黒side
お休みの部屋とは、ゆっくりひとりひとり話がしたい時や、純粋に感染症とかにかかっちゃったときの隔離部屋としてとかに使われてる部屋。
簡易ベッドも置いてあるので、昼夜勤務が続いた人の仮眠部屋としても使われることがある。
深澤「はい、阿部ちゃんここね〜」
ふっかさんは簡易ベッドに座って、阿部ちゃんに隣に座るよう促す。
阿部「え〜ふっかの隣？」
深澤「いいじゃん。あ、めめここね」
俺は、丸椅子を引っ張ってきて、ふっかさんの反対側に座った。
阿部「めめもお話しなの？」
深澤「嫌？最近俺様子見れてなかったからめめにもお話し聞こうかな〜と思って」
阿部「別に、いいけど…」
不思議そうな阿部ちゃんだけど、ふっかさんの言葉をそのまま飲み込んで納得したみたい。
でも、さっきの話を聞いて、やっと違和感に気づけた。
確かにずっと、変に笑顔を絶やさない阿部ちゃん。
ふっかさんは上手に、関係ない話から始めて、話題は佐久間の高校生活の話へ。
深澤「阿部ちゃんはどう？学校。受験モードでピリピリしてない？」
阿部「あんまりしてないよ。大丈夫」
深澤「そう？でも阿部ちゃんは頑張ってるもんね。お家でも勉強したり、ノートだってこの間買ったやつ、なくなりそうって言ってたね。新しいのまた買ってこなきゃ」
阿部「うん、もうすぐ無くなりそうだから。いつもありがとう」
深澤「ううん、いいのいいの」
しばらく雑談を続けリラックスしてきた阿部ちゃんだけど、学校の話に入った頃にまた身体がこわばって、笑顔も貼り付けたようなものに戻っていった。
そして、ふっかさんが核心をつく。
深澤「阿部ちゃんさ、もしかしてさ、学校で嫌なこととかされてない？」
阿部ちゃんの瞳が少し揺れたのだけ、見えた。それでも。
阿部「ううん、クラスのみんなと仲良くしてるよ？」
深澤「ほんと？」
阿部「うん、ほんとほんと。そろそろいい？俺勉強しなきゃ」
そう言って立ちあがろうとした阿部ちゃんの腕を引いたふっかさん。
その瞬間、阿部ちゃんの顔が大きく歪んだ。
阿部「…ぃ」
深澤「ごめんね阿部ちゃん、ゆっくりお話し聞く余裕無くなっちゃった。腕、見せてほしいな」
阿部「ほんとに、なんもないから！大丈夫！」
歪んだ笑顔。俺ももう見ていられないくらいつらいけど、ここで目を離すわけには行かなくて。
阿部ちゃんを再び座らせたふっかさんの目は、真っ直ぐ阿部ちゃんを捉えていた。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
