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深澤side
深澤「亮平？入るよ」
一緒に住んでいるとはいえ、思春期の男の子の部屋にあんまり出入りするのも良くないのかな、と思いつつ、返事がないのでそっと扉を開ける。
扉を開けてすぐに見える亮平の背中は丸くなっていた。
深澤「机に突っ伏して寝ると身体痛めるよ」
そっと肩を叩いて呼びかけるが、起きる気配はない。
ぎゅっと握られたシャーペンを手から解き、もう一度身体を揺さぶる。
阿部「ん…」
深澤「起きた？ただいま」
阿部「…ぅ」
うっすらと目が開いたので呼びかけてみたが、返事とも呼べない、喉を動かしただけの声が聞こえて、また目を閉じてしまった。
こうなると亮平はしばらく起きない。
ストレスによる過眠だって、病院では言われている。
たまに不安定になるとこの状態になることがあるが、今回は俺にも分かる、明確な理由があった。
深澤「もうすぐパパとママの命日だもんね…」
寝ている亮平の頭をそっと撫でながら、自分の力不足を痛感して苦しくなる。
まだ、ここは亮平にとって、安心できる場所になれてないのかな。
シワにならないよう、突っ伏した頭の下にあるノートを引き抜き、閉じて端に寄せる。
このままだと身体を痛める未来しか見えないので、可哀想だけど、「起こすよ〜」と声をかけながら抱っこの状態でベッドまで運んだ。
今はまだ、まだと言ってもギリギリ、抱っこできるけど、もう少し大きくなったら厳しいな、なんて思いながら。
その間も亮平は起きることなく、次に目を覚ましたのは2日後の早朝。
その間も何度か声をかけて、うっすら目を開けるのだけ確認して、眠りにつく亮平を眺めていた。
流石にこんなに眠っている時間が長いのは初めてで、今日起きなかったら病院に連れていこうと佐久間と話していたところだったから、朝起きてリビングに亮平がいた時はすごく安心した。
深澤「おはよ」
阿部「あ…おはよう…」
深澤「スッキリした？マジずっと眠ってるから今回ばっかりは流石に病院連れてこうかって話してたとこ」
阿部「…ごめんなさい」
深澤「いーの、気にすることないよ。水飲んだ？ちょっと寝てる時間長かったから口ゆすいで飲めそうだったらポカリ飲んで欲しいんだけど」
冬だし、急に冷たいもの入れるとお腹壊すかなって思って常温で置いておいたポカリを手渡す。
阿部「…ありがと」
さて、俺はコーヒーでも飲もうかな
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
