願うのは、穏やかな冬 ページ1
深澤辰哉(30):ゲーム会社の開発担当。阿部亮平の親戚。両親を亡くした亮平がたらい回しにされているのを見ていられず、引き取ることにした。
佐久間大介(30):イラストレーター。深澤とは高校の同級生。大学時代は金銭的な問題で同居をしていたが、なんだかんだ未だに同居を続けている。
阿部亮平(12):中学1年生。小学校5年生の冬に、不慮の事故で両親を亡くす。その後は親戚の家を転々とし、中学校に上がるタイミングで深澤・佐久間の家に落ち着いた。
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深澤side
「深澤さん〜！この1年全く飲み会来てくれないじゃないですかぁ〜忘年会くらい来てくださいよぉ」
深澤「ごめんごめん、また今度ね」
「そう言って今年！一回も！来てくれなかったじゃないですか！女子が深澤さんが来てくれないと盛り上がらないんですよ！あ、まさか彼女ですか？」
深澤「まぁそんなとこ〜じゃあ定時だからあがるね。今年もありがとうございました〜」
後ろから部署の奴らがやんややんや言っているのを聞こえないフリをして、部署のドアを閉める。
今年の仕事納め。
扉の前でグッと伸びをして、帰路に着く。
冷たい空気で首に巻いたマフラーから少し出ている鼻が痛い。
昔から飲み会が好きだったわけではないが、少し前まではほどほどに、波風が立たない程度に参加していた。
そんな俺が、ここ1年は一度も参加をしてないどころか、ほぼ毎日定時退社。
あることないこと色々な噂が立ちまくってる…らしいけど、ちゃんと自分の仕事は終わらせているし、最近は何を言われてもあまり気にならなくなってきた。
定時退社した俺は、どこに寄るわけでもなくまっすぐ家に帰る。
鍵を開けると、なにやらいい香り。
水がシンクに跳ねる音などから察するに、夕飯が出来上がった頃かな。
深澤「ただいまぁ」
佐久間「あ、おかえり〜！夕飯が出来るのを計ったように帰ってきたな！まさかｯ…お前超能力が…」
深澤「んなわけ…お、今日は鍋？」
佐久間「そ！寒いし、ちょっと年末ゆっくりしたいしいつもより仕事の時間取ったんだよねー、だから物入れて火にかけるだけの鍋！」
深澤「あんがと、亮平は？」
佐久間「あー…えっとねぇ、」
言葉を濁す佐久間。
なんとなく、時期的にも、予想はついている。
佐久間「部屋、に、いるけど…」
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
