防衛本能 ページ9
見るんじゃなかった
結局現実を突きつけられるだけなのに
彼にとってはあたしなんて、今出会ったに過ぎないんだから･･･
しかも、みんなより遅れて来たあたしには、彼の回りにできた輪の中に入るのも不自然な話で、ていうか、そんな勇気なんて、あたしにあるはずないんだから･･･
ため息をひとつついて、あたしは店を出た。
１１月のこの時間、薄手のロングニット１枚はさすがに寒くて、コートを置いてきたことを今さら後悔した。
って・・・あれ？
芹澤って何のタバコ吸ってたっけ？
いつも見てるつもりでも、いざとなると覚えてなくて、一人コンビニの店の前で考えていると、後ろから鼻で笑うような声が聞こえた。
「マイセンのライトのボックスだよ」
「え・・？」
振り向くと、スーツのポケットに手を突っ込んで、片方だけ口角を上げた彼が立ってた。
「芹澤のタバコのことで悩んでたんじゃないの？
ていうかさー、携帯は？ふつーこういう時、携帯使うでしょ(笑)」
「テーブルに置いてきたから･･･」
「それで考えてたんだ(笑)」
「･･･」
「そんな怖い顔しなくてもいいじゃん。かわいい顔が台無しだよ？」
なんで･･･いるの？
訳が分かんなくて
もう芹澤のタバコなんてどうでもよくて
ただこの場から立ち去りたくて
彼は、あの時の人懐っこい瞳であたしをじっと見てる。
これ以上深みにはまる前に、何もなかったことにしよう･･･
前の彼と別れてから１年、恋のブランクは、自然と防衛本能を働かせた。
来た道を戻ろうとした時、突然彼に手首を掴まれた。
「オタクさ、あん時の坂口さんだよね？」
あのまま
何もなかったら
始まんなかったかもしれないのに
彼に掴まれた手首が
じんじん熱くて
恋のブランクも
防衛本能も
彼の瞳の前では何の効力も持たないんだって
あたしはこの時気づかされた･･･
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シロ(プロフ) - なるさん» コメントありがとうございます！ずっと読んで頂き、本当に感謝してます。コメントや評価って、もちろんそれだけじゃないですけど、やっぱり目に見えるものなので、すごく嬉しいです！頑張ろうって気持ちになります。続きも始まりました。また遊びに来てくださいね♪ (2014年6月16日 17時) (
レス) id: 03309d756a (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - ゆき智さん» 遅くなってしまって、ごめんなさいっ！コメントを読んだ時、すごく嬉しくて、心の中でお返事したのを、そのまま返信したつもりになってました。ほんとすみませんっ！もう、もったいないお言葉です。感動してます。ほんとうにありがとうございました！また頑張れそうです (2014年6月16日 17時) (レス) id: 03309d756a (このIDを非表示/違反報告)
なる(プロフ) - 完結、おめでとうございます!!素敵な気持ちを頂きました♪ありがとうございました♪番外編も堪能させていただきます!! (2014年6月6日 14時) (レス) id: 0c8f1794e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき智(プロフ) - 今日の更新も切ないね。好きで好きで好きで…キュンときてますー！シロさんのお話は、描写が本当にキレイで大好きです♪ (2014年6月5日 21時) (レス) id: 025aa98389 (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - さかなさん» そんなそんな、もったいないお言葉です。私の拙いお話に、そんな風に言ってもらえるなんて･･･。嬉しくて、感動してます。他のお話も、なかなかな暗さですが（苦笑）どうぞ、最後までお付き合いくださいね♪本当にありがとうございました。 (2014年6月4日 17時) (レス) id: 03309d756a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロ | 作成日時：2014年5月28日 17時
