届かぬ想いーside junー ページ42
坂口の部屋は、思ってた以上に何もなくて、女の子らしいアイテムがほとんど見つからなかった。
壁にかかった野球チームのお揃いのブルゾンが、なんか笑えた。
「おまえは寝てていいから。適当にキッチン借りるけど」
「･･･うん」
コートを脱いで隠れるようにベッドに潜りこむ坂口。
それから毛布から目だけ出してこっちを見てる。
「俺って信用ない？」
「え･･･？」
「ほんとに襲わねぇから寝てろって」
「そんなんじゃないよ･･･ごめん･･･寝る･･」
「ふっ(笑)出来たら起こしてやるから」
「･･･うん」
ワンルームの小さなキッチンで、使い勝手は良くはなかったけど、とりあえず米と卵を見つけて卵粥を作った。
テーブルって呼べるものも見当たらなくて、ベッド横のパソコンが置かれた机に鍋ごと運んだ。
「鍋敷き･･･はねぇよな」
フキンを鍋敷き代わりにして、それから坂口を起こそうとした時、1枚のCDが目に入った。
あまりメジャーではないロックバンドので、俺も正直聴いたことがない。
でも、バンド名だけは聞いたことがあった。
前に3人で飲んだ時に、カズが好きだと言ってた。
カズが好きなバンドのCDを、坂口が聴いてるってだけなのに･･･
たったそれだけのことなのに、 胸が苦しくなった
「坂口･･･？」
名前を呼んでも返事はなくて、俺は鍋をキッチンに戻した。
ベッドサイドまで行くと、毛布の端を抱きかかえるようにして眠る坂口が見えた。
「坂口？」
「A･･･」
彼女の名前が口から零れた瞬間、彼女の頬に手が伸びて、触れる直前でぐっと拳を握った。
フェアじゃねぇよな･･･
こんなに苦しいんなら、やめりゃいいのに
なんて、やめれるもんなら、もうとっくにやめてるか
机の上に無造作に置いてあったここの鍵を手に取り、“鍵はドアの新聞受けに入れておきます”とメモを残して、俺は坂口の部屋を後にした。
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シロ(プロフ) - なるさん» コメントありがとうございます！ずっと読んで頂き、本当に感謝してます。コメントや評価って、もちろんそれだけじゃないですけど、やっぱり目に見えるものなので、すごく嬉しいです！頑張ろうって気持ちになります。続きも始まりました。また遊びに来てくださいね♪ (2014年6月16日 17時) (
レス) id: 03309d756a (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - ゆき智さん» 遅くなってしまって、ごめんなさいっ！コメントを読んだ時、すごく嬉しくて、心の中でお返事したのを、そのまま返信したつもりになってました。ほんとすみませんっ！もう、もったいないお言葉です。感動してます。ほんとうにありがとうございました！また頑張れそうです (2014年6月16日 17時) (レス) id: 03309d756a (このIDを非表示/違反報告)
なる(プロフ) - 完結、おめでとうございます!!素敵な気持ちを頂きました♪ありがとうございました♪番外編も堪能させていただきます!! (2014年6月6日 14時) (レス) id: 0c8f1794e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき智(プロフ) - 今日の更新も切ないね。好きで好きで好きで…キュンときてますー！シロさんのお話は、描写が本当にキレイで大好きです♪ (2014年6月5日 21時) (レス) id: 025aa98389 (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - さかなさん» そんなそんな、もったいないお言葉です。私の拙いお話に、そんな風に言ってもらえるなんて･･･。嬉しくて、感動してます。他のお話も、なかなかな暗さですが（苦笑）どうぞ、最後までお付き合いくださいね♪本当にありがとうございました。 (2014年6月4日 17時) (レス) id: 03309d756a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロ | 作成日時：2014年5月28日 17時
