黒Tシャツくん ページ18
さっき走って通った商店街を、今またあたしは走ってる。
白く空に溶けていく息を見つめながら、彼を思った。
理由はどうでもいい
彼から電話があった
彼と話した
そして
今、あたしを待っている
ただ嬉しくて、心はバカみたいに弾んでる
なのに
なぜだか涙が出た
冷たい風が当たってるから
なんて
我ながら往生際が悪いというか･･･
あたしは
いつのまにこんなに好きになってしまったんだろう
彼のこと
二宮の･･･こと
居酒屋の暖簾をくぐると、お揃いの黒のＴシャツを着た店員の一人に声をかけられた。
「あの、連れが先に来てると思うんですけど･･･」
何名様でお越しですか？
何時くらいに来られたんでしょうか？
その黒Ｔシャツくんの言葉に、今さっき、男性一人で来たと思うと答えると、彼は「お一人様でですか？」そう繰り返した。
「はい」
あたしの返事に少し首を傾げながら、なにやらパソコンとにらめっこをしてる。
「来られたのは、先ほどですか？」
だから、そう言ってるじゃん･･･
あれから電話を切って普通に店に向かったとして、絶対あたしより先についてるはずだ。
駅前に何軒か居酒屋はあるけど、マツキヨはこの店の隣にしかないから、彼の言った店はここに違いない。
少し怪訝そうな顔で見てくるその黒Ｔシャツくんの態度に、同じ接客をしてる者として、少々イラっとなった。
あ･･･
でも、もしかしたらまだ来てないのかも･･･
カチャカチャとキーを押す黒Ｔシャツくんの指先を見ていて、あたしは急に不安になった。
なんとなく、先に来てるような気がしてたけど、違うかもしれない。
つかさっきの電話、既にこの店にいて、ここで話したのかも･･･
そしたら、今さっき来たっていうのも違ってくる。
あたしは途端に申し訳ない気持ちになって、彼にそう伝えようとした時、斜め後ろから視線を感じた。
恐る恐る振りかえると、そこには片手で口を覆って、笑いを堪えるような表情をしている二宮が立っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 285人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シロ(プロフ) - なるさん» コメントありがとうございます！ずっと読んで頂き、本当に感謝してます。コメントや評価って、もちろんそれだけじゃないですけど、やっぱり目に見えるものなので、すごく嬉しいです！頑張ろうって気持ちになります。続きも始まりました。また遊びに来てくださいね♪ (2014年6月16日 17時) (
レス) id: 03309d756a (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - ゆき智さん» 遅くなってしまって、ごめんなさいっ！コメントを読んだ時、すごく嬉しくて、心の中でお返事したのを、そのまま返信したつもりになってました。ほんとすみませんっ！もう、もったいないお言葉です。感動してます。ほんとうにありがとうございました！また頑張れそうです (2014年6月16日 17時) (レス) id: 03309d756a (このIDを非表示/違反報告)
なる(プロフ) - 完結、おめでとうございます!!素敵な気持ちを頂きました♪ありがとうございました♪番外編も堪能させていただきます!! (2014年6月6日 14時) (レス) id: 0c8f1794e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき智(プロフ) - 今日の更新も切ないね。好きで好きで好きで…キュンときてますー！シロさんのお話は、描写が本当にキレイで大好きです♪ (2014年6月5日 21時) (レス) id: 025aa98389 (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - さかなさん» そんなそんな、もったいないお言葉です。私の拙いお話に、そんな風に言ってもらえるなんて･･･。嬉しくて、感動してます。他のお話も、なかなかな暗さですが（苦笑）どうぞ、最後までお付き合いくださいね♪本当にありがとうございました。 (2014年6月4日 17時) (レス) id: 03309d756a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シロ | 作成日時：2014年5月28日 17時
