第九話 ページ11
「一寸、そこのお嬢さん」
なんて少しナンパの様なセリフだったのだけれど、声は嫌に静かだ。
この道に今にも溶け出してしまいそうな黒いコートと帽子に、よく映える橙、朱にも見える髪が
なんと言えば良いのか
「殿方にこんな事を言うのは少し奇異ですが、
綺麗ですね。」
何と言えば良いのかわからないから、思ったまま伝えてみた。
彼は暫く考えてから(考えているふりにしか見えなかった)微笑んで、貴女には敵いませんよと私の髪を撫でる様な仕草をした。
直接触れようとしないのが紳士ぽくてまた素敵だった。
「ところでお嬢さん。こんな時間に一人でほっつき歩くなんて正気の沙汰ではない と思いますが」
迷惑とまではいかないが、それでも私が此処にいることは余り望まれていないらしい。
「ああごめんなさい。私今日初めてこの街に来たもので。あ、そうそう此処へはどう行けば良いのかしら?」
国木田さんお手製地図を(二枚あった訳だが、見せたのは外食用にすすめられた幾つかの店へ行くための物だった。)指差してみる。
今は建物(?)の切れ目の光が僅かに射し込む所に移動したため、この程度の地図は難なく読める。
「ここは、真反対にある海の近くの倉庫ですが。」
「えっ」
「...あの。」
「はい」
「私、今日この街に初めて来たので土地勘無いのですよ。」
「はあ」
「だからここで はい、道順おしえた。頑張って。 なんて見捨てられたらどうなるか分かりますよね?」
「迷いますね」
「...」
「...」
その人はとても、とてもいい笑顔を。それこそ、面白い玩具を手にした子供のように笑っていた。
55人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
国木田君の行きつけのお店の彼女は変なことに巻き込まれたようです。
俺らの育児日記【文豪ストレイドッグス】
もっと見る
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シリカゲル(プロフ) - ひなのまるさん» それもこれもひなさんがウチに文ストの魅力を教えてくれたからだよ。ありがとう! (2016年7月14日 1時) (レス) id: 028254152a (このIDを非表示/違反報告)
シリカゲル(プロフ) - イロハさん» ウチも君のことはリスペクトしてるぜ!ありがと!! (2016年7月14日 1時) (レス) id: 028254152a (このIDを非表示/違反報告)
ひなのまる - ランキングおめでとう御座います!!更新無理せず頑張ってね! (2016年7月13日 21時) (レス) id: 8462bd0719 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - ランキングおめでとうです! 面白いし文の書き方うますぎて、ほんとにリスペクトですわ! 更新ファイトっ! (2016年7月13日 19時) (レス) id: 276ba08b49 (このIDを非表示/違反報告)
シリカゲル(プロフ) - 湯豆腐さん» ミステリアス!!マジですか!!ありがとうございますm(__)mこれ以上にない褒め言葉ですよ! (2016年7月13日 18時) (レス) id: 028254152a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シリカゲル x他2人 | 作成日時:2016年7月9日 3時