俺の胸倉を掴んでくれ (ページ7)

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side 紫

ただAは俺が想像してた以上にとんでもない難攻不落の要塞だった。

どんだけ頻繁に会いに行ってどんだけ特別扱いしても全然ダメだった。

「押してダメなら引いてみれば？」っていうよくあるアドバイスを照からも受けて、しばらく会わないようにしても全然効果なし。
次に会った時に『そういえば久しぶりだね。』なんて言われて。

正攻法が効かないなら、と会社の女の子に告白されたのを引っ張り出して「結構可愛かったし付き合っちゃおっかな～。」っていう遊び人キャラで攻めても『結婚式には呼んで欲しいな。』なんて余裕で返されちゃってさ。

正直お手上げ状態だった。

もうこうなったら俺に出来るのは一つだけ。

そのままの自分でやりたいように押しまくること。

バカだと思われるかもしんないけど、ちゃんと勝算があって。
Aみたいに四方八方ガラス張りの子はそのままの自分で真っ正直に生きてる人に弱いはず。
それに作り上げた俺を好きになられても後で辛いだけ。
要は色んな理に敵ってる。

それが功を奏したのか、Aはたま～に俺の言動にほんのちょっと反応を示すようになった。

それが嫌悪なのか興味なのか、俺への好意は含まれてるのか、そこまでは分かんなかったけどでもやっぱり嬉しかった。

それを見た照の「いつもと変わんなくね？」って苦笑いも、そんだけ俺はAを見てる、分かってるっていう自信になった。

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