俺の胸倉を掴んでくれ (ページ37)

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未練未酌ページ37

side 紫

長谷寺から始まった俺達の鎌倉デートももう終盤。

Aはあれから俺にべったりで、いつもとはまるで反対だ。
愛嬌に満ちた笑顔、甘えるような声と態度、それからこの腕。

元来俺はこの手の女の子はタイプじゃない。
でも相手が好きな女なら別だ。

もうここまで来ると心配になる。
A、疲れてない？
それもうやめたら？
何度そう言いかけたことか。

でも完全にスイッチの入ったAはそんなこと絶対聞き入れてくれなそうだから、俺もAの気が済むまで付き合うことにした。

まあそれにこれはこれで楽しい。

「A、おみくじ引かない？」

おみくじを引くにはちょっと中途半端な時期だけど、残り半分もない今年の運勢を占ってもらうのも悪くない。

『ふふっ、いいよ。』

俺達はそれぞれ200円を投入しておみくじを引いた。

どれどれ。

運勢は………大吉！
おおー！これからいい年になりそうだな。

そして一番知りたい恋愛。

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一途な想いが愛を深める
言葉で示せ

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……言葉かあ。確かに言葉で伝えたことはなかったな。
行動だけじゃ駄目ってことか。
やっぱ大事なことは口で伝えろってことだよな。

あっ、Aはどうだったんだろう？

「Aはなんだった？」

俺の問いに一瞬怪訝そうな顔をして、でもすぐにニッコリ笑顔に戻った。

『吉だって。大吉は引けなかった。笑

ふっかさんは？』

「俺はね、大吉！」

『いいなあ。いい年になりそうだね。』

「だといいんだけどなあ。」

『何か悪いこと書いてあったの？』

「んーん。

……でもいい年になるかどうかはお嬢さん次第だな。」

Aの顔を覗き込むと目が合ってすぐ逸らされた。

「Aのはなんて？」

Aは一瞬戸惑いを見せた後じっと俺の目を見て

『 “ 用心せよ ” 』

そう言い放った。

…