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本当に、不思議な気分だ。
目の前で、あの京本大我が、俺の作った食事を食べている。
あつ！うま！やば！と、小学生のような反応を見せながら、次々と口に運ぶ京本。
まさか自分が、人に料理を振る舞うなんて。
少し前までは考えもしなかったことを、平気で俺にやらせてしまう彼は、やっぱりそういう星の元に生まれてきたのだろう。
樹が以前言っていたが、天性の姫体質、だとか。
単に自分が他のメンバー同様、彼を甘やかしているだなんて思うのは癪だから、そういうことにしておいてほしい。
「美味かった〜すげえな北斗」
「…別に、これくらい普通だけど」
ああ、また、可愛げのない返事。
目をキラキラ輝かせながら、俺を褒めるコイツ。
まさか、俺たちが不仲なことを忘れてるんじゃないだろうか。
やめてくれ、調子が狂う。
変に胸の奥が痛むのを誤魔化すように、俺は2人分の食器を片付け、冷蔵庫からゼリーを取り出した。
はい、と机に置けば、何故か眉間に皺を寄せる京本。
「え、なんでゼリー？」
「なんでって、風邪の時はゼリーだろ」
「風邪のときはプリンじゃん！」
「はあ？」
「風邪引いたらプリン食べるのが普通じゃねえの？」とさも当然のように首を傾げる京本に、今度は俺が首を傾げた。
なんだそのルール。
お坊っちゃまはプリンを食べる習慣でもあるのか？
訳がわからず顔を歪める俺に「へんなかお」なんて悪態を吐く京本。
思わず両頬をぎゅっと摘んでやろうかと思った。
「…いらないならいいけど」
「食べます」
プリンがいい！なんて駄々をこねていたにも関わらず、取り上げようとすれば勢いよく食べ始める。
まったく、どこまでも子どものようだ。
必要以上に彼を避けて、出来るだけ視界に入らないようにして、言葉を交わさないようにして。
見るだけにして。
そうやって距離を置いてきたからこそ、知らない京本を、今、俺はこの短時間で目の当たりにしている。
それがどうにも不思議で、可笑しくて。
勿体ないことをしているんだろうな、ということは嫌でもわかっている。
だけど、今更、変えることなんてできない。
戻り方なんて、俺にはわからない。
そもそも、
そんな権利、あるはずがない。
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白梅(プロフ) - なぺこさん» なぺこさんコメントありがとうございます！嬉しい言葉がたくさん、、！不定期更新ですが、ぜひこれからも応援よろしくお願いします！ (2019年6月3日 16時) (
レス) id: ff41a5aa52 (このIDを非表示/違反報告)
なぺこ(プロフ) - とても面白いです！文章から、その時の情景がすごく伝わってきて読みやすいです！！好きです！応援してます！！ (2019年6月2日 22時) (レス) id: 7d886639bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白梅 | 作成日時：2019年5月15日 18時
