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第24話 からくり ページ26

「こんにちは。織田さん」
「どうした。A?」

 彼の名は、織田作之助。
 龍之介が来る1ヵ月前。子供達と共に彼に甘味処で出会い、『新居が見つかるまで』という条件付きで、実家に住まわせていた事がある。

「一つ聞きたい事があって。ポートマフィアという組織に、聞き覚えはありますか?」
「嗚呼。込み入った話だから、俺の家で話そう」

 彼は、家に招き入れてくれただけでなく、緑茶まで出してくれた。

「それで、何処からその情報を?」
「母の記憶から。織田さんは、半年前に『俺は、一度死んだ身だ』と(おっしゃ)いました。生まれ代わりと云う概念は、こちらの世界で存在しますが、生前の記憶と、怪我をしたはずの体が完治した状態で異世界に来るのは、可笑(おか)しいと思われませんか?」
「言われてみればそうだがな」
「何か、大きなカラクリがありそうですね。あたしのほうで調べてみます」
「ああ。頼む」

 緑茶を一口飲んだ後、ふと尋ねてみる。

「それと、参考までに聞きますが、その組織の規模は、どれくらいですか?」
「上の事は、正直よく分からん。俺は、組織の最下級構成員で、業界では変わり者だったらしい。今だから言える事だが、幹部の一人と情報屋に友人が居て、遊撃隊の若造に、危うく殺されかけた事もあったなァ」
「…そうですか。織田さん。ありがとうございました」

 お(いとま)した後、道中、脳内で仮説を立ててみた。

 亡くなった人は、異世界で再び生を受け、死にかけている人は、生きたまま異世界に行く。
 条件は、紅い月の日。
 しかし、父が死んだのは、半月の日。織田さんは、月が出ていない夕暮れ時。まして、龍は瀕死の身で、前夜が三日月だ。これでは、原因解決にならず矛盾している。

「何か悩んでいるのか?」
「ッ! …龍か。びっくりしたー」

 物思いにふけっていたせいで、夫の気配に全く気づかなかった。

「話がある。昼ご飯は、もう食べた?」
「否。未だだ」
「あそこはどう? 行列できていないし、ヨシノさんに聞いたら、個室なんだって」

 近くに定食屋があり、迷いなく入店し、食後に仮説を説明する。

(やつがれ)の理解の範疇(はんちゅう)を越えている。貸し出し可能の本を読み漁ったが、この世界の(ことわり)は、大筒木カグヤの息子、六道仙人にあるらしいな」
「…もしかして、里ぐるみの大掛かりな忍術なのか?」

 この時、事の重大さを認識していなかった。

第25話 兆候と報告→←第23話 ある女の記憶



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 芥川龍之介 , NARUTO   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:エミリア | 作成日時:2017年1月9日 23時

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