第9話 宣戦布告 ページ11
「第一部隊、帰還いたしました」
「ご苦労様じゃった。休みに入れ」
「はい」
梅雨が明け、夏に差し掛かった7月中旬の正午前。
「報告書は、夕方までに提出します。失礼」
全員が踵を返し、部屋を退室する様子を見、
「芥川君。A、知らない?」
「知らぬ」
一楽ラーメンの後の業務で、
「任務を受け取りに来たのでなければ、退室して下さい。業務の邪魔です」
暗唱できるまでになった決まり文句を告げても、気に止めず、三代目火影に外出する旨を告げて、任務受付所から退室した。
苛立ちを募らせたまま外出し、何時も通っている大通りを歩く中で、誰かが嗚咽をこらえながら泣くのが耳に届いた。
『本当に、本当に、ありがとうございました!』
「当たり前の事をしただけです。木の葉に住む者は、皆家族ですからね。坊や。もう、お父さんとお母さんから離れて歩いちゃ駄目だよ」
「うん、ありがとう! 黒猫姉さん」
黒猫は、西洋で不吉の象徴。日本は、西洋の影響を受ける前まで、幸福の象徴と言われていた。幸と不幸。どちらが我が身に降りかかるのか。
家族と別れた黒猫は、こちらへ歩み寄るが、
「A」
「お。カカシ、龍。ただいま」
「おかえり」
「……」
黒猫の仮面を外したAに、憤りを抱き、体の横に垂らした手で、ぎゅっと拳を作った。
何故、
1ヵ月離れていただけなのに、何故、胸をこうも焦がす?
Aと居ると、今まで感じた事のない激しい感情に突き動かされ、
Aが居れば、この感情が判るのか?
「A。また
今日、小さな宣戦布告をした。
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作者名:エミリア | 作成日時:2017年1月9日 23時