第17話 理性と小さな嘘 ページ18
「何があったの？」
「楽し過ぎて連絡するの忘れてました」
Aは、また平気に嘘をつく。
「ミナコさん達は、どうして泣いてらっしゃるんですか？」
「なんでAちゃんは、そんなにクールなのよ？ 普通、感情が昂るとこでしょ」
「あたし、感情に疎いので判りません」
「俺が好きだって気づいて告白したのも、昨日の夜だもんな」
昨日の事を暴露されて、Aが口をつぐんだ。嘘をついた罰だ。
「ユーリ、Aと付き合うの？」
「え？ ネクストステージあんの？」
顔から血の気が引いていくAの、助けを求める視線を完全に無視した。
「あるに決まってんだろ。そこに進むのは、今じゃない」
彼女に安堵させる暇を与えずに、口を開く。
「明日まで、大人しく待てるよな？」
この意味を理解したAは、頬を紅くしながらも、しっかりうなずく。周りの皆は察して、微笑むだけに留まって、話題は去年のバンケットの話になった。
「半裸でポールダンス？ 何それ見たい」
「A、見るな‼ 目が腐る！」
気さくにクリストフが動画を見せる直前、俺は、あわててAの視界を片手で塞ぐ。
「ユーリ。見えない」
「死んでも──」
視界を完全に塞いでるのに、正確に人差し指を『黙って』と言いたげに、唇にそっと押し当ててきた。無意識に、心拍数が上がる。
「簡単に、その単語を口にしないで」
「わ、わかった」
顔の上半分を俺の手で隠された状態で、ふ、とAが満足そうに微笑む。
Aの色気がクソヤバい。俺の事しか考えられないくらい、めちゃくちゃにしたい。
「？ どうした？」
「なんでもない」
これ以上、想い人に触れたら、確実に理性が崩壊する。
そう思って、手を引っこめた。
急に視界が明るくなったAは、目を数回瞬かせて、俺の感情に気づかないまま、スマホをのぞきこむ。
「ポールダンスは、腹筋と脚力を駆使するって聞いた事ある。……やっぱ筋肉凄ェ」
色恋沙汰に鈍いんだったな。忘れてた。
JJと女を全員で無視して、ホテルに帰る途中で、Aを繋ぎ止める。
「A、ミナコ達に嘘ついただろ。本当の事言え」
「人間のクズを脅しただけだ。日本に帰ってちゃんと決着つけるから、心配しなくていい」
『首を突っこむな』ってことかと推察し、黙っておく。
「あんまり危ない事すんなよ」
「うん。忠告ありがとう」
愛しい人は、自分の命を簡単に天秤にかけて、平気で危ない橋を渡っていく。
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エミリア1415(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます。ロシアに忍がいるとは、一言も書いていません。設定も盛り込み過ぎているとは思いません (2018年3月28日 12時) (
レス) id: c808353d76 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - ロシアなのに忍とかあるわけないでしょ。設定盛り込みすぎて意味わかんない (2018年3月26日 16時) (レス) id: 826fa97ab5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミリア | 作成日時：2017年10月9日 22時
