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第1話 ボーイ・ミーツ・ガール ページ2

(ねぇ、ユーリ。見てよ、あの女の子)
(? どの子?)
(胸元に黒いプーマのロゴが入ってる、白いダウンジャケットの子だよ。初めて見る子だけど、上手だね)
(うん)

 ノービスに入る前の俺と、たまたま旅行に来ていたアイツと、初めてスケートリンクで出逢ったのは、ロシアの極寒の冬。

(貴女、コツを掴むのが上手ね)
(ありがとうございます。でも、まぐれですよ。ヴィソーツカヤ先生)

 (なま)りのない流暢(りゅうちょう)なロシア語が、リンクにいる僕達の耳に届く。
 目鼻立ちが整ったショートヘアの美しい黒髪を持つ女の子が、氷上に立っていた。他の初心者の子達と比べて、背筋もピンとして綺麗だと思った。指先と表情にも細心の注意を払って、その上、滑りに迷いが無い。ロシア人によく見られる灰色の瞳は、失敗を恐れない気迫を見せている。

(今日は、ここまで)
(ありがとうございました)

 リンクに上がる時にその子と目が合って、幼かった俺に向かって滑ってきた。

(ねぇ、(きみ)。名前は?)
((きみ)じゃない。ユーリ・プリセツキーって名前があるんだぞ)
(ああ、ごめん。A・カガミだ。よろしく、ユーリ。あたしも、ユーリみたいに滑れるようになりたいな)
(…よろしく)

 差し出された手を(こば)む理由はなくて、その手を握り返した。

(ユーリは、地元の子なの?)
(うん)
(そうなんだ。あたしは、日本から旅行で来たんだ)
(ふーん。一人で?)
(まさか。家族でだよ。本当の家族じゃないけどね)
(え? そうなの?)
(うん)

 灰色の瞳が一瞬だけ悲しそうに(ゆが)んだけど、すぐに笑顔で誤魔化していた。その日からAから目が放せなくなって、1週間お互いの時間が許す限り、スケート教室で技を磨き上げていった。
 それが一目惚れだと気づいたのは、彼女が日本に帰国して居なくなった後だった。


 初めて出逢って恋心を自覚した日から、いつの間にか8年の歳月が経った。
 俺は、まだジュニアクラスでフィギュアスケートを続けている。でも、昔逢った彼女について現在わかっている情報は、日本人という事と、A・カガミという名前。日本の芸能事務所と個人契約していて、若手のアクション女優をやっている事だけだ。

「A…」

 元気にしてるだろうかと、自宅で飼い猫のピョーチャを撫でながら、そう思った。

「会いてぇな…」

 だが、そのチャンスが案外すぐ来る事を、この時の俺は知らなかった。

第2話 自分と兄貴→←人物設定



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設定タグ:ユーリ・プリセツキー , ユーリ!!!onICE , イケメン女子   
作品ジャンル:恋愛
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エミリア1415(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます。ロシアに忍がいるとは、一言も書いていません。設定も盛り込み過ぎているとは思いません (2018年3月28日 12時) (レス) id: c808353d76 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - ロシアなのに忍とかあるわけないでしょ。設定盛り込みすぎて意味わかんない (2018年3月26日 16時) (レス) id: 826fa97ab5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エミリア | 作成日時:2017年10月9日 22時

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