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第3話 状況整理 ページ5

「ブランクがあるとは思えないね」
「こっちの時間で、1ヵ月前には感覚を取り戻した。…なんで、リンが居るの?」

 本題に戻ると、苦笑される。彼女が向こうの世界で亡くなって、6年が経っているために、何気ない表情ですら忘れていた。

「西区と中区の管轄の榊一族や、朱雀一族の方達は、ほぼ定年退職されていて、現役と云っても年を召された人が多いから…」

 彼女が言いたい事を、代わりに口にする。

「人手不足を補うための若手投入か」

「……。Aちゃんは、昔から要点を掴むのが上手だよね」
「オブラートに包んで遠回しに言うのが、単に嫌いなだけ。…そうだ。手当て、ありがとう」
「どういたしまして」

 その折、谷崎の悲鳴と、何故かチェーンソーの音がした。聞けば、与謝野晶子先生の異能力は、治癒。(ちまた)では珍しい類らしく、重傷を無傷にする模様。

「ナオミの容態は?」
「晶子さんが手当てして下さったよ」
「…そうか」

 与謝野さんとは違い、医療忍者は完全に無傷の状態に回復させる訳では無い。故に、わずかに皮膚が突っ張る程度で、あとは、自然治癒に任せる形だ。


 武装探偵社をおいとまして、数十分後。遠くから爆発音が聴こえたかと思いきや、数時間後には、銃声が空気を震わせた。伝わって来た音を、遅めの昼食がてら寄った『カフェ・ラ・ミル』で、注文のローストビーフサンドを片手に聞き流す。

「この街は賑やかだね」
「物騒な音を『賑やか』と称するのは、ちょっと…」
「探偵社を、灰色。マフィアを黒とすれば、各県に居る影を長とする我々忍は、どちらにも為れる。時として、人を救い、殺める」

 そこでサンドウィッチを一口頬張り、舌鼓を打った。子育てに奔走する毎日で疲れた体を癒すのは、やはり美味しい食だが、摂取量に気をつける必要がある。

「…そうだね。Aちゃん、結婚したんだ」
「うん。今月で一年半になる。夫は仕事が多忙で、全然会えないけど」
「え。連絡は?」
「取ってる。良平の写真も、エコーの段階で送り続けてるよ」
「でも、一年半も家に帰らないで、子育ても家事も、Aちゃんが独りで全部こなしてるんでしょう? 夫の自覚が足りないのかな?」
「そんな訳…ない」

 何故か、ここにきて言葉に詰まってしまった。

「リン。あたしは大丈夫だ」
「やせ我慢しないの。これは、私の連絡先。真夜中でも、用件が雑用でもいいから、いつでも呼んでね」

 お願いだから、これ以上、不安を煽らないで。

第4話 限界→←第2話 再会



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 芥川龍之介 , NARUTO   
作品ジャンル:恋愛
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エミリア1415(プロフ) - にゃんこさん。コメントありがとうございます。魅力的に書けるように頑張ります。 (2021年1月15日 15時) (レス) id: 82aefb6635 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - 芥川大好き。龍チャン愛してる。 (2021年1月15日 13時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - 白狐さん» 白狐さん、コメントありがとうございます。更新できるように精進しますね (2018年12月16日 17時) (レス) id: c808353d76 (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - あー、最高。全てが好き。更新頑張ってください。僕の為にも((( (2018年12月13日 23時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - ありがとうございます。頑張りますね。 (2017年4月9日 15時) (レス) id: 738ed6759e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エミリア | 作成日時:2017年3月12日 22時

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