第32話 夜景をバックに ページ33
「A、寒いのか？」
「当然。ダリューンは寒くないの？」
「修行の一環と思えば、なんとも思わん」
「引くわー」
彼女はジト目で俺に返事を返しながら、距離を取ろうとするが、それは電車内の人ごみにより、拳ひとつ分だけに留まった。しかし、彼女の隣に男が立っていたため、肩に手を回し抱き寄せる。
「あまり離れるな。迷子になられたら、俺が困る」
「…ごめん」
マンハッタンで過ごす最後の日は、朝から名所巡りし、セントラルパークで昼食をとった。その後、のんびり南下し、エンパイアステートビルと自由の女神を堪能した所で夕方になる。そこから北上し、ブルックリンブリッジ・パークに行くために、冒頭へ戻るわけだ。
「しばらく歩くぞ」
「ん、分かった。ただ…」
「？」
「肩に手を回されるより、手を繋ぎたい」
おそらく、持てる勇気を総動員して言ったのだろう。しっかり防寒着をまとっているものの、寒さのせいなのか照れなのか、顔が紅潮している。それが愛おしく思えて、まだ告白すらしていないのに、抱きしめたい気持ちに駆られた。
「俺が、Aの願いを無下にした事があるか？」
「愚問ね。ノーに決まっているでしょう？」
照れた顔から一変。いつもの気が強い一面を見せてきた。
「ああ。だが、まだ繋がない。時間はあるし、夜景が見終わってからでもいいのでは？」
「ダリューンの好きなようにすれば？」
普段なら腰に手を当てて怒る仕草をするが、今は右腕を回しているために、それができない。むすっとした表情もかわいらしくて、彼女に気づかれないよう、わずかに口端を上げた。
ブルックリンブリッジ・パークに着き、ちらほらカップルがいる程度で落ち着かない。幸い、Aお嬢様は、それよりも夜景に目を奪われている。
「人が多いかと思ったけど、そうでもないみたい。これならゆっくり綺麗な景色が見られるから、いいわね。どうしたの？ そんなに退屈？」
「いえ。決して退屈ではありません」
「…敬語」
再び睨みつけられるが、ため息をついたのは寒いからではない。緊張からだ。そして、一大決心して、若干震えた声で彼女の名を呼ぶ。
《Aお嬢様。お話があります》
英語でも日本語でもない。先祖の故郷であるパルス語で、騎士のように
《これから先、一生貴女だけの
事前に用意した小箱を開ければ、涙を流して快諾して下さった。
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エミリア1415(プロフ) - お久しぶりです、イヴィさん。季節は冬で、年末のマンハッタン。ベタだな…と自分でツッコミつつ、次の話を組み立てている最中です。 (2016年9月30日 10時) (
レス) id: 37abc421ec (このIDを非表示/違反報告)
イヴィ - キャー\(//∇//)\2人で旅行とは…！これはますます見逃せません！次話での展開楽しみです！ (2016年9月29日 23時) (レス) id: 5980d81e59 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - コメントありがとうございます。作者も、ここから話をどう組み立てるのか分かりませんが、最終的にはハッピーエンドにしたいと思います。 (2016年7月5日 22時) (レス) id: 37abc421ec (このIDを非表示/違反報告)
イヴィ - まさかの犯人ダリューン…これは予想外ですΣ（ﾟдﾟlll）驚きのMAXですどうなっちゃうの次話？！ (2016年7月5日 19時) (レス) id: 1461fa90cc (このIDを非表示/違反報告)
イヴィ - ありがとうございます\(//∇//)\凄く楽しみにしてたのでとても嬉しいです！何やら記憶も戻りつつあるようですし次回が今から待ち遠しいです！ (2016年6月22日 23時) (レス) id: 1461fa90cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミリア | 作成日時：2015年7月24日 22時
