第18話 祭りの後 ページ19
「A…。それは食べすぎよ」
「星涼。頼むから何も言うな」
現在、腹の中で消化しているのは、王道のショートケーキに、チョコシフォンケーキ。あらかじめ取り分けておいた、プチシューとミルクレープだ。
「よし。お次は、カップケーキ各種とフランボワーズのムースと、スイパラプリンだ」
見ているだけで空腹を刺激する代物が、目の前にずらりと並んでいる。
「お嬢様。まさか、これだけのために朝食を少なめにされたのか？」
「ええ。それ以外に何か理由が必要なの？ ファランギース」
「差しつかえなければ、理由をお聞きしたい」
「……。わかった」
あたしは、目当てのものを選んでトレーに移しながら、理由を話していった。
事の発端は、数日前の夏祭りにある。
目当ての屋台を探し出すまでの間、ダリューンの聞き役に回っていた。
(その時、アルスラーン殿下が部下を捨てずに、救出に行かれました)
(さすが殿下。お優しい)
「わたあめを買いに行った時も…」
(お。荷物を持ってあげてるなんて、優しい彼氏だね。今時いないよ、こんな若者)
(いえ。Aお嬢様にお仕えしているだけです)
(あ。そうかい…)
興がそがれてしまったが、店主はにこやかに笑う。こちらもあいさつ程度に微笑み返した。
「…まあ、彼が、アルを慕う気持ちは分からんでもない」
「それにしても、女性を前にしてアルの話を持ってくるのはねぇ…。ちょっとでも褒めたの？ その時のAの容姿とか浴衣について」
「あー…、うん。去り際に」
『そこは最初に褒めるべきだろう』
「でしょう？」
今、あたしの傍で仕えているのは、ファランギース。有事の際にも手際よく行動するが、人ごみの中に入っていく時には、ナンパされないようダリューンが隣に配置される。だけど、彼は本来、弟のアルを護る役目を父のオスロエスから命じられている。
あの祭りの日。恋人のエステルがいたから、あたしの護衛にダリューンが就いた。
ただ、それだけの理由。頭では理解しているのに、感情が邪魔をする。
己の護衛は、ついでに過ぎない。
彼の口から出てくる話題は、いつも弟のことばかり。もうたくさんだ。
取り分けた分を完食して店を出た後、星涼とファランギースと別れ、気晴らしに本屋へ向かう。パルスに関する歴史の本をいくつか手にした時、声をかけられた。
「Aお嬢様。お久しぶりです」
「ギーヴ。久しぶり」
彼はバンダナと耳飾りを身につけ、にこりと笑みを浮かべた。
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エミリア1415(プロフ) - お久しぶりです、イヴィさん。季節は冬で、年末のマンハッタン。ベタだな…と自分でツッコミつつ、次の話を組み立てている最中です。 (2016年9月30日 10時) (
レス) id: 37abc421ec (このIDを非表示/違反報告)
イヴィ - キャー\(//∇//)\2人で旅行とは…！これはますます見逃せません！次話での展開楽しみです！ (2016年9月29日 23時) (レス) id: 5980d81e59 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - コメントありがとうございます。作者も、ここから話をどう組み立てるのか分かりませんが、最終的にはハッピーエンドにしたいと思います。 (2016年7月5日 22時) (レス) id: 37abc421ec (このIDを非表示/違反報告)
イヴィ - まさかの犯人ダリューン…これは予想外ですΣ（ﾟдﾟlll）驚きのMAXですどうなっちゃうの次話？！ (2016年7月5日 19時) (レス) id: 1461fa90cc (このIDを非表示/違反報告)
イヴィ - ありがとうございます\(//∇//)\凄く楽しみにしてたのでとても嬉しいです！何やら記憶も戻りつつあるようですし次回が今から待ち遠しいです！ (2016年6月22日 23時) (レス) id: 1461fa90cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミリア | 作成日時：2015年7月24日 22時
