▽ ページ31
✼ ✼ ✼
「……なんで私は花生みじゃないんだろう」
「A……」
「あ、ごめん……花生みにだって辛いことはあるのに」
少なくとも花生みであるきんときに言うことではなかった。
そう思って謝るが、何となく彼の顔は見れなかった。
だって、本心ではやっぱり羨ましいと思ってしまっているのだから。
「ぶるーくが変花したって話にすら嫉妬しちゃうの」
また別の友人たちを思い浮かべる。
前から仲睦まじかったが、ここ最近はより一層仲が良い姿が見られた。
何より、彼女が元気になって活動的になっているのが印象的だった。
花生みにだって悩みはある。
でもやっぱり花食みになったぶるーくも、花生みである彼女も。
そして変花する程の愛を交わしたふたりのことも。
私はいつだって人を羨ましがるばかりだ。
✼ ✼ ✼
きんときと別れた後、少し離れた駅のロータリーで人を待ちながらぼんやりと考える。
ずっと、彼には花が必要なのではないかと悩んでいた。
それでも彼を手放すことはできなくて。
じゃあ私に出来ることはないのだろうか、と。
前から思いついていた方法が1つあった。
世の中は決して上手く、パートーナーを見つけられる人ばかりではない。
中には生活に支障をきたす程体調が思わしくなくても、ブートニエールや恋人が見つからないということもざらにある。
そんな人々の中には、愛を交わさずに花と体液だけを交換する、いわゆる「ヤドリギ」の関係でいる花食み・花生みも少なからずいる。
私の親しい友人の花生みたちは皆、ブートニエールや恋人がいて。
そんな友人からはとてもじゃないが花は貰えない。
私も花食みだからわかるが、花食みはとても嫉妬深いのだ。
大切な恋人の一部を、友人だろうと同性だろうと渡すはずがない。
かといって、大学内の知り合いは避けたい。
どこからかなかむにバレてしまわないかが心配だし。
となると、見ず知らずの人から貰うしかない。
それに対価が伴うとしても。
「……あの、もしかして」
「あ、はい……」
話しかけられて振り返れば、人の良さそうな笑みを浮かべた同じくらいの年頃の男性が立っていた。
ぺこりと頭を下げれば同じように少し会釈してくれる。
スマホのとある画面を見せ合う。
うん、この人で間違いないようだ。
第一印象は悪くない人で良かった。
✼ ✼ ✼
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 308人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「実況者」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらたま。(プロフ) - 玲さん» ありがとうございます✨ (12月30日 0時) (
レス) id: a02f9236c1 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - お仕事お疲れ様です (12月29日 23時) (レス) @page50 id: db3c5f0a70 (このIDを非表示/違反報告)
しらたま。(プロフ) - なすかまさん» いつもご丁寧にコメくださりありがとうございます！とても嬉しいです^^ やはり皆様の反応は気になりますのでこうしてご感想頂けるのはとてもありがたいです。モチベになります！気ままに頑張りますので、今後もよろしくお願いします!! (11月29日 22時) (レス) id: a02f9236c1 (このIDを非表示/違反報告)
なすかま - 遅くなりましたが、８冊目、おめでとうございます！そして私は幸せです、、、なんといっても、brさんの誕生祭にこんなドキドキキュンキュンするものが読めるなんて、、、。幸せ以外のなにものでもありません！お忙しいとは思いますが、頑張ってください！ (11月29日 21時) (レス) id: 257f27a87a (このIDを非表示/違反報告)
しらたま。(プロフ) - すみれいんさん» コメありがとうございます！バース書いたらすみれいんさんがいらっしゃるかなと思ってました笑 Ωよりこっちの方がなんか病んでる人は多くなりそうです……はい^^; 誤字お目汚し失礼しました！全然そのままで大丈夫ですよ。ありがとうございます！！ (11月17日 22時) (レス) id: a02f9236c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しらたま。 | 作成日時：2023年11月16日 15時
