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はらり、と本がめくれる音。
それから彼がノートに何かを書き込む音。
GWの初日、スマイルはどこにも出かけないらしく、朝から課題を熟していた。
まぁ明日は皆と遊びに行く約束をしている訳だし、何事も早めに終わらせておくのに越したことはない。
それを邪魔しないようにしつつ、彼が使っていない教科書をめくってみる。
教科書の内容も、知っていること、知らないことがあって結構楽しい。
この酷く、静かな空間を私は割りと気に入っていた。
決して無視されていたり、存在が無かったことにされているわけではなくて。
彼と時を同じにしていることを許されている、そんな気になる。
教科書からちらりと目線をスマイルへと向けてみた。
少し俯いてノートを見る彼の横顔はとても綺麗だ。
それをぼんやりと眺めていると、ふとスマイルが走らせていたペンを止めた。
ぱちりと目が合う。
もう、出会ってから幾度となく目が合うことはあったが、未だに少し慣れなくて。
その綺麗な瞳に見られると、何もかも見透かされる気分になる。
「なぁ」
『……？なに？』
一言発して、少し考え込む彼に首を傾げる。
彼は片手の指先でペンをくるりと回した。
「やりたいこと、他にないのか？」
『え？』
「ひとつしか言わなかっただろ」
『あぁ……』
昨日、皆とのやりとりのこを言っているのだろう。
私は肩をすくめて見せる。
『そうは言ってもやっぱり思いつかないし』
「そうか」
『例えば、スマイルだったら何したい？』
「俺？……そうだな」
ペンを回していた手を止めると、スマイルは少し首を捻った。
ほら、すぐには出てこないよ、と言いたい所をちょっとだけ待ってみる。
「海……とか、行きたいな」
『うみ？』
「……昨日テレビでやってたところが、綺麗だったなって」
『へぇ』
ふと、その光景を思い浮かべる。
まだ春の陽気残るこの時期なら、砂浜を歩くには持って来いであろう。
もし彼が……彼と歩くなら。
どんな砂浜と海が似合うだろうか。
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しらたま。(プロフ) - おださん» おださん初めまして！コメありがとうございます!! 今回は特に高校生らしい純粋さ、真っ直ぐさ、大人への移り変わりみたいなのを意識しているので、そう言って頂けるのは非常に嬉しいです^^！ 駆け足ではありますが、最後までもう少しお付き合い頂けたら幸いです🍀*゜ (3月8日 16時) (
レス) id: a02f9236c1 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - (続き失礼します。) この先の結末が別れしかないからこそ言えなかったり、できなかったりすることもあるだろうに、全員で人のためを思って行動できる人をただそういう風に描けるしらたま。様の文体が、一層登場人物の純粋さを引き立たせていて大好きです。 (3月8日 16時) (レス) id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。純粋に真っ直ぐにお互いを思い合って、周りの友人もそんな二人を見守って全力で協力して、お互いを尊重し合っている関係と物語に切なくなります。→ (3月8日 16時) (レス) @page48 id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しらたま。 | 作成日時：2024年2月29日 20時
