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◆なかむ視点
✼ ✼ ✼
「なかむさ〜」
「ん〜？」
「何であんなこと言い出したの？」
帰り道、２人になった影を踏んで歩いている中、ぶるーくの問いかけに対して、一瞬言葉に詰まる。
きっと彼は俺の様子に気づいてはいるだろうけど、構わずに話しを続けた。
「だってつい昨日、調べる範囲を他の県まで伸ばそう、って皆で話ししたばっかじゃん？」
「……ちゃんと覚えていて乗ってくれたわけ？」
「その話だってなかむが提案したことだったからね。だとしたら何か理由があるんだろうなって」
多分きりやんとかも分かってたよ、とぶるーくは肩をすくめてみせる。
ほんと、こういうところこの男はぼけてんだか、頭が回るんだか、いまいち良くわからないやつだ。
でもそれに助けられてきたことには間違いない。
夕日がアスファルトを染める中、俺は道端の石ころを軽く蹴飛ばした。
「学校で帰る前にさ、皆を待っている時にAちゃんと話してたんだ。最近はほら、ずっとスマイルの家に泊まってるって言ってたからその経緯をね、聞いて」
「なる。それはそれで面白そうだから今度教えて。で？」
「その時に彼女が言ってた……というかまぁ、書いてたんだけど」
ふわふわと浮くペンが動いて、ノートに文字が綴られていく。
そんな摩訶不思議な現象を意外と皆があっさりと受け入れたのは、スマイルから彼女の話しを聞いていたからだろうか。
それとも幽霊が見えない俺等が、彼女を存在するものとして認識できる唯一の事象だからだろうか。
「未練になっちゃいけない、って」
「……未練、かぁ」
「スマイルのことが好きで、俺らとの学校生活を夢見て……でも彼女には行くべきところがあるって自分で分かってて……」
まだ本気で恋したことのない俺は、きっと彼女の気持ちを本当の意味で理解してあげることはできないだろう。
けれどさ、好きな人と一緒にいたいっていう気持ちは皆一緒だろ？
それでも離れることを選べるものなのだろうか。
「綺麗なままで……いきたいって言ってたんだ」
「……そっか」
きっと恋愛って純粋な、綺麗なだけじゃないはずだ。
どろどろとした醜いものだってあるのに。
彼女はそれを知っていて……わかっていて、あえてそう言ったのだと。
顔を見なくても、文字からだとしてもそれは何となく分かってしまった。
ぶるーくが少し下を向いてため息を吐く。
✼ ✼ ✼
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しらたま。(プロフ) - おださん» おださん初めまして！コメありがとうございます!! 今回は特に高校生らしい純粋さ、真っ直ぐさ、大人への移り変わりみたいなのを意識しているので、そう言って頂けるのは非常に嬉しいです^^！ 駆け足ではありますが、最後までもう少しお付き合い頂けたら幸いです🍀*゜ (3月8日 16時) (
レス) id: a02f9236c1 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - (続き失礼します。) この先の結末が別れしかないからこそ言えなかったり、できなかったりすることもあるだろうに、全員で人のためを思って行動できる人をただそういう風に描けるしらたま。様の文体が、一層登場人物の純粋さを引き立たせていて大好きです。 (3月8日 16時) (レス) id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。純粋に真っ直ぐにお互いを思い合って、周りの友人もそんな二人を見守って全力で協力して、お互いを尊重し合っている関係と物語に切なくなります。→ (3月8日 16時) (レス) @page48 id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しらたま。 | 作成日時：2024年2月29日 20時
