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ぶるーくの苦笑まじりの声が耳に届く。
「うん、そうだと思った」
「ぶる、く……」
「スマさん最近、Aちゃんが見てないところで苦しそうにしてたから」
あぁ気づかれていたのか、とぼんやり思う。
悩むくらいには、隠せないくらいには、もう……取り返しがつかなくなっていたのだ。
俺は教材が傷つくのも構わずぎゅっと握りしめた。
「だめだ、でも、……だめだ」
「スマイル……」
下を向いたまま力なく首を降る。
例え、好きだとしても……
「俺がAをここに縛り付けたくはない」
「……うん」
「今は一緒にいるのが良くても、その後どうなるか分からない。Aがここに留まり続ける影響も分からない」
ただ、ひとりきりで永遠をさまよい続けるかも知れない。
それか、この時に縛られ続けるかも知れない。
「あいつは人と関わるのが好きで、寂しがりで……考えが、心の内が……優しいんだ」
誰かを恨んだり、憎んだりして欲しくない。
誰かを祟るような悪霊になって欲しくない。
だから、彼女を引き止めるようなことを口にしたくなくて。
だから、彼女が好きだということを見ないふりしていたかった。
ぶるーくが俺の手から教材を取り上げる。
がら、と直ぐ側のドアを開けるとその中に教材をばたばたと置いて、すぐに戻ってきた。
あぁいつの間にたどり着いていたんだ、と思うと同時にぶるーくが袖口でがしがしと頬を擦ってきた。
「いｯ！？」
「あーもう泣くなよ〜可愛い女の子なら抱き寄せてあげるけど、さすがの僕も男はやだよ」
「へ、……あ、」
言われて気づく。
顔をさわると指先がしっとりと濡れていた。
かっこわる、と自分の袖口でそれを拭ってから顔を上げれば、ぶるーくは少し困ったように微笑んでいた。
「協力するよ。Aちゃんを……必ず僕たちで送ってあげよう」
「……あぁ」
もうすぐ４月も終わりを迎える。
なぜか、彼女と同じ季節を迎えることは無い気がしてしかたなかった。
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しらたま。(プロフ) - おださん» おださん初めまして！コメありがとうございます!! 今回は特に高校生らしい純粋さ、真っ直ぐさ、大人への移り変わりみたいなのを意識しているので、そう言って頂けるのは非常に嬉しいです^^！ 駆け足ではありますが、最後までもう少しお付き合い頂けたら幸いです🍀*゜ (3月8日 16時) (
レス) id: a02f9236c1 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - (続き失礼します。) この先の結末が別れしかないからこそ言えなかったり、できなかったりすることもあるだろうに、全員で人のためを思って行動できる人をただそういう風に描けるしらたま。様の文体が、一層登場人物の純粋さを引き立たせていて大好きです。 (3月8日 16時) (レス) id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。純粋に真っ直ぐにお互いを思い合って、周りの友人もそんな二人を見守って全力で協力して、お互いを尊重し合っている関係と物語に切なくなります。→ (3月8日 16時) (レス) @page48 id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しらたま。 | 作成日時：2024年2月29日 20時
