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あれから、たまにスマイルは放課後に音楽室に一緒に行ってくれるようになった。
いいと言ったのだが、あまりにも私が楽しそうな顔をしているから、弾きたいんだろ?と。
その時に決まってスマイルがリクエストするのは、あの時最初に弾いた月の光だった。



「どこかで聞いた覚えがあるんだよな」



褒めてくれると同時に彼はそう言って首を傾げる。
まぁ、有名なクラシックだしね。

それを皆にも話したらしくきんときくんや、きりやんが聞きに来てくれたり、ぶるーくやシャークんと一緒に弾いたり、アコギを持ち出したなかむと合わせることもあった。

きっと彼らと学校に通っていたらこんな日々が送れたのだろう。
それは、とても幸せなことで。
でも幽霊でなかったら当たり前の世界で。
幽霊だから来ることの無い明日で……。








「なぁ今さらなんだけどさ、Aちゃんって夜はこの公園に1人なわけ?」



学校終わり、公園で数人で談笑していた時、そうなかむくんが問いかけてきたのは4月も終わりに近づいてきた頃だった。
それにへ?と思うも、素直にペンを走らせる。



【そうだよ?大抵は桜の木の上にちょうどいいスペースがあるから、そこに座って星を眺めたり、歌ったり、目をつぶったりしてみてる】

「あ〜木に登れるのも、歌が聞かれないのも、寝なくてもいいのも幽霊の特権?」

【かもね。気ままに過ごしてるよ】

「雨にも濡れないのか」

【うん】



なかむくんはそっか、とその話を終わりにした。
多分、今日の雲行きが怪しくなってきているから気にしてくれたのだろう。
そういえば、私が意識を取り戻してから雨は降っていなかった。

特に水に濡れないから気にすることはないのだが……。



『……』



暗くなってきた空に、なぜか言いようのない不安が襲ってきて。
じっと空を見上げる私にスマイルが首を傾げた。



「どうかしたのか」

『え?あ、ううん。何でもない!何でもないよ……』



そう、原因の分からない不安があるだけで。
説明しようもないのだから。


その日は今にも降り出しそうな雨に対して、皆傘を持っていないというから早めに解散となった。

皆が見えていないのは承知でいつも手を振って見送る。
それに皆も一見すると何もないところに手を振ってくれて。
スマイルだけはいつも軽く手を上げるだけなのだが。
今日は私が変な顔を見せてしまったからか、何度もこちらを振り返っているようだった。




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しらたま。(プロフ) - おださん» おださん初めまして!コメありがとうございます!! 今回は特に高校生らしい純粋さ、真っ直ぐさ、大人への移り変わりみたいなのを意識しているので、そう言って頂けるのは非常に嬉しいです^^! 駆け足ではありますが、最後までもう少しお付き合い頂けたら幸いです🍀*゜ (3月8日 16時) (レス) id: a02f9236c1 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - (続き失礼します。) この先の結末が別れしかないからこそ言えなかったり、できなかったりすることもあるだろうに、全員で人のためを思って行動できる人をただそういう風に描けるしらたま。様の文体が、一層登場人物の純粋さを引き立たせていて大好きです。 (3月8日 16時) (レス) id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。純粋に真っ直ぐにお互いを思い合って、周りの友人もそんな二人を見守って全力で協力して、お互いを尊重し合っている関係と物語に切なくなります。→ (3月8日 16時) (レス) @page48 id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しらたま。 | 作成日時:2024年2月29日 20時

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