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けれども……
「他にも弾けるのか？」
一見すると、グランドピアノに話しかけているように見える。
きっとスマイルにしか見えない彼女が何かを彼に話しているのだろう。
彼は少し頷きながら間をおいて、それからちょっとだけ困ったように眉を寄せた。
「だから言ったろ。俺は音楽には詳しくない」
仕方ないな、といったようなその優しげな表情は俺には見慣れなくて。
むしろ友人のそういう姿を見るのは少々……いや結構むず痒いものだ。
再び、ピアノの優しい旋律が流れる。
これも有名なクラシックだ。
それを弾きこなすAは中々の腕前だと思う。
ピアノから少し離れた後ろの椅子に座ったまま、おもむろにスマイルの横顔……と動く鍵盤を見る。
俺は恋愛ごとに詳しくない。
だからAがスマイルを好きだと書くその文字の額面通りの意味しか受け取れない。
それに対して、スマイルがどう考えているのかを俺らに話したことはない。
2人きりのやりとりの全てを聞いているわけではないから、そこでどんな会話がなされているのかわからないが。
彼の表情だけを見る限りは……
「……お前、そんなわかりやすいヤツだったっけ？」
思わず漏れた呟きは、ピアノの音に包まれて溶け込んでいく。
姿も見たこともなく、声も聞いたことのない少女が。
あの文字のように、このピアノの音のように。
彼に優しかったらいい。
そう思いながらただ黙って2人いるだろう後ろ姿をぼんやりと眺めている。
その時だった＿＿＿
「………え、」
一瞬、一瞬だけ。
ピアノの椅子に長い髪が揺れて、隣にいるスマイルを見上げて笑った影が見えた気がした。
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しらたま。(プロフ) - おださん» おださん初めまして！コメありがとうございます!! 今回は特に高校生らしい純粋さ、真っ直ぐさ、大人への移り変わりみたいなのを意識しているので、そう言って頂けるのは非常に嬉しいです^^！ 駆け足ではありますが、最後までもう少しお付き合い頂けたら幸いです🍀*゜ (3月8日 16時) (
レス) id: a02f9236c1 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - (続き失礼します。) この先の結末が別れしかないからこそ言えなかったり、できなかったりすることもあるだろうに、全員で人のためを思って行動できる人をただそういう風に描けるしらたま。様の文体が、一層登場人物の純粋さを引き立たせていて大好きです。 (3月8日 16時) (レス) id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。純粋に真っ直ぐにお互いを思い合って、周りの友人もそんな二人を見守って全力で協力して、お互いを尊重し合っている関係と物語に切なくなります。→ (3月8日 16時) (レス) @page48 id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しらたま。 | 作成日時：2024年2月29日 20時
