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「触るか？今なら俺が音を出したことにできるし」
確かに。
誰もいない時に音がなっていたら、それこそ学校の７不思議にでも数えられてしまう。
シャークんが椅子から降りてくれたので代わりに座る。
恐る恐る鍵盤に指を伸ばして、触れられるように意識をしてみる。
ぽーん
「お、鳴ったな」
『うん』
試しにと両手をピアノに置いてみる。
先程のシャークんの姿を思い出して。
それからもう一度鍵盤を見て、指を滑らせてみた。
「え、お……？」
音が鳴る。
和音が重なる。
それは今までの中でも、ひときわ不思議な感覚だった。
これが身体が動いているということなのだろうか。
気づけば私の手は流れるように鍵盤の上をいったり来たりしていた。
シャークんも気づけば無言で聞いてくれていて。
どれだけそうしていたのか。
夢中でピアノの音にだけ浸っていれば、最後の一音を奏でた指が離れていった。
それと同時にシャークんが両手を激しく叩く。
「すげー上手いじゃん！月の光、だな」
『月の光……』
舌の上で転がしてみると、確かに何かがしっくりした気がした。
「俺はクラシックあんまりだけどこれならぶるーくよりも上手いんじゃね」
『あ、ぶるーくも弾くんだ』
「なぁ、スマイルもそう思うよな？」
『え？』
シャークんが自然と言うものだから。
驚いてぱっとピアノから教室の端へと目線を走らせる。
と、そこには教室に入ってきて固まったままのスマイルがいた。
いつの間に？
演奏に集中していて、全く気が付かなった。
彼はシャークんの呼びかけにはっとするとこちらへと歩み寄ってくる。
「……さぁ、俺は音楽には疎いから」
「でも、良かっただろ？」
その問いかけに、ピアノの横に立ったスマイルがすっとこちらを見る。
思わずびくりとしてしまえば、スマイルがふっと口元を緩めた。
「あぁ、この曲は好きだな」
『………ぁ、』
無いはずの心臓が悲鳴を上げた気がした。
今だけは幽霊で良かったかも知れない。
血の通わない頬は白いままのはず。
きっと生身だったら私は真っ赤だったに違いないから……。
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しらたま。(プロフ) - おださん» おださん初めまして！コメありがとうございます!! 今回は特に高校生らしい純粋さ、真っ直ぐさ、大人への移り変わりみたいなのを意識しているので、そう言って頂けるのは非常に嬉しいです^^！ 駆け足ではありますが、最後までもう少しお付き合い頂けたら幸いです🍀*゜ (3月8日 16時) (
レス) id: a02f9236c1 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - (続き失礼します。) この先の結末が別れしかないからこそ言えなかったり、できなかったりすることもあるだろうに、全員で人のためを思って行動できる人をただそういう風に描けるしらたま。様の文体が、一層登場人物の純粋さを引き立たせていて大好きです。 (3月8日 16時) (レス) id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)
おだ(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。純粋に真っ直ぐにお互いを思い合って、周りの友人もそんな二人を見守って全力で協力して、お互いを尊重し合っている関係と物語に切なくなります。→ (3月8日 16時) (レス) @page48 id: dd244e2324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しらたま。 | 作成日時：2024年2月29日 20時
