及川さんバースデー【HQ】

で ※本誌ネタバレ ページ6

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「連絡先、教えてあげよっか？」



日本とアルゼンチンの試合が終わり、同級生だけで飲み直そうよと花松コンビに連行されてお酒もいい感じに回った頃、松川にそう言われた。

____誰の？なんて口を開きそうになったけど愚問でしかないから辞めた。





「今更連絡したところで徹くんは海外で可愛い彼女とラブラブだよきっと」

「いやあいつ今彼女居ないし、未だに及川の口からお前の名前出てるんだってー………あっやべ」




花巻の言葉に飲んでたお酒が喉に咽せた。失言した花巻を松川が怒ってる辺り徹くんが「本人には言わないで」って口止めしたんだろう、でなきゃとっくの昔に私の耳に入ってる筈だ。

私は徹くんのことが未だに好きだ。もし徹くんも私のこと好きだったら____なんて頭を過ぎったけど私は恋人とは最低でも週一は会いたいタイプ。


だから必然的に彼は私の恋人になる条件に満たないから除外だ。





「なにそれ、振ったの徹くんなのに」

「それはお前のことを思ってだなー………」

「何よ」

「いや悪い何でもない」




後味悪そうに言葉を濁した花巻にこれ以上の詮索をしなかった。だってこれも徹くんが口止めしてるんでしょ？だから聞かない。それに、




「連絡先はいらない」




彼女がいまいが未練があろうが、未だに徹くんも私のことを想ってくれてようが私は彼とはもう一度関係を繋ぎ合う予定はない。

彼は彼の人生を、私は私の人生を


歩んでいるのだ。





「ま、拗らせた時は慰めてね」

「任せとけ」

「花巻じゃなくて松川希望してるんだけど」

「なんでだよ……！？」




骨埋めんの上手そうだから、なんて言うと俺も同じとこに転職しようかななんて笑ってた。そうだよ、私の心配する前に花巻はちゃんと転職先見つけないとじゃんか。応援してるよ。

そう言って前に進んだ私の背後で、松川が花巻を慰めてたのを私は知らない。





「そろそろ及川に言ってもいい？？俺がアイツのこと好きだって」

「そんなことしたらあいつ、アルゼンチンから帰国してきそうだからやめとけ」

「どいつもこいつもめんどくせぇ」







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