治くんとこの常連さん【HQ】 (ページ8)

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おにぎり宮の常連さん:8 ページ8

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「それにもう彼の事、忘れないとって…」

「え？」

ぽろぽろと涙を零す彼女に慌てる俺。もう一回言うけどほんまに今店に俺ら以外おらんくてよかった。側から見たらいまの俺めっちゃダサい。

「そんな泣くほど好きやねんやったら、無理して諦める必要ないんとちゃいますか」

え、まって、なに言うてんの俺のくち

何好きな女の人の背中押してんの？そこまでお人好しやなくない？ほんまに何してんの？
なんかしらんけど口が勝手に動いてた。

………だって、好きな女の人には笑っててほしい。

「優しいね、治くん」

「それはAさんだからですよ」

「え？」

あかん、口が滑った。

「そっ、そんなんAさんいつも美味しそうに俺が握るおにぎり食べてくれるし、それに一番ってゆうてええくらい来てくれてるし……」

「ふふっありがとうございます」

治くんのお陰で元気出た、って言うてくれるAさん。俺は毎日あなたのその笑顔に元気もらってます。

それに、と話を続けるAさんの顔を見る。

「無理して忘れるわけじゃないよ」

ネガティブな気持ちでこんな美味しいおにぎり食べてるの勿体なあって、治さんの作るおにぎり世界で一番って言うていいくらい美味しいもん、って天使のような顔で言うてくるもんやから

だから、また口滑らせてん

「俺、Aさんのこと好き」

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