まさかあたしがモテるなんて！ (ページ19)

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過去のおはなし 3 ページ19

その後、衣装を無事に届けてスタジオに戻ると彼らは着ていた衣装とは違う服装で踊って歌っていた。

(すごい輝いてる！)
あぁ…あたしはやっぱり輝いている人を見るのが好きなんだなぁ……。

｢…ちゃ｣
｢…ちゃん！｣
｢Aちゃん!!!!!｣
名前を呼ばれて、目を覚ますと焦ったような顔をした北斗くんがいた。
『ほく、とくん…？』
｢良かった…。大丈夫？あ、起き上がらなくていいよ。倒れた時に頭ぶつけたみたいだから。｣
『あ、えとはい。でも、大丈夫。』
そう言いつつ、上体を起こし座り直す。

いつも見ている彼の顔なのに、懐かしい。そう感じるのはあの時の6人の内の一人が、彼だったからかな。

『北斗くん…あの時から、皆さんも…頑張ったんですね。』
｢っ…!!!!!｣
『あの時は…新人が、浅知恵で偉そうにごめんな…』
｢Aちゃん！｣
ぎゅうっと抱きしめられてしまった。
心拍数が一気にあがり、あたしはどうすればいいのかされるがままになってしまった。

『あの…北斗くん…。』
｢違うよ、あなたの言葉が俺ら6人を救ってくれたんだ。デビューが出来そうで出来ないあの真っ暗な道に、Aちゃんが1つの光を当ててくれたんだよ！｣
『っ……！』
その言葉に嬉しくなって、あたしは思わず彼の背中に手を回してしまった。
｢ありがとうっ…ありがとうっ！俺らを救ってくれて。｣
首にあたたかいものがぽたぽたと落ちるのを気づかないフリして、あたしはそのまま彼と抱き合っていた。