最高のデート日和【ソーン】 ページ32
道行く人々の笑い声や、屋台の呼び込む声がひっきりなしに響き渡る。
まだ祭りが始まってからそれほど時間は経っていないというのに、既に大盛況だ。
「す、すごいですね……！」
「今年は去年より大規模にやるから人も多いんだって」
感嘆の声にそう付け加えるように説明してくれたのは、今日の祭りに誘ってくれたAだ。
彼女の言う通り、出店の数も尋常ではない。
定番の屋台から変わり種まで様々なものが整然と並び、それらの目が眩むほど鮮やかな電飾が幻想的ともいえる空間を生み出していた。
「あ！あそこのお面、甘色ちゃんみたいで可愛い！」
足早に、しかしこちらを置いて行かないように入口付近のその店に歩み寄る彼女の後を追う。
黒い狐面を手に取る彼女は微笑ましげな笑みを浮かべていた。
普段とは違う無邪気な笑顔ときっちり着こなされた浴衣も相まって、自然と視線が惹き寄せられてしまう。
「うーん、買っちゃお。おじさん、これください！！」
彼女の言葉に、店の店主が「はいよ！」と威勢の良い声を上げる。
100円玉を受け取った店主はこちらを見ると、にっこりと笑顔を浮かべた。
「坊主もやるなぁ。まだ小せぇのにこんなべっぴんさん連れてデートなんてよ」
「うぇっ！？で、デートなんてそんな……！」
彼の発言にしどろもどろに返し、ちらりとAに目をやる。
「あ、あんまり揶揄うのは良くないですよ」
困ったように眉を下げながら笑う彼女の頬が微かに赤らんでいるのは、ただの自惚れか、それとも屋台の眩しい電飾のせいか。
「なんか私ばっかはしゃいじゃってごめんね。ソーン君も気になる店とかあったら全然言ってもらっていいよ」
「あ、はい！ありがとうございます！」
店を後にしながらそう言って微笑む彼女に心臓が締め付けられる。
視線を少し下に落とせば、彼女の手持ち無沙汰な左手が目に入った。
「あ、の……」
「どうしたの？」
「……いえ、やっぱりなんでもないです！」
「……？そう……？」
──手を繋いでほしい、と言ったら彼女は何と返してくるだろうか。
それを聞くのが怖くて、いつもその先の言葉を言えずじまいだ。
それでも今日は、賑やかな祭の雰囲気に後押しされていつもより少しだけ勇気が出せそうな気がしていた。
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白鷺(プロフ) - パトさん» こちらこそ、多くのリクエストや激励のお言葉、本当に励みになりました。更新出来ない期間もあった中最後までお付き合い頂き本当に感謝致します。ありがとうございました！！ (2022年1月1日 20時) (
レス) id: 385719bc4e (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - 完結おめでとうございます。更新の度に胸を高鳴らせ、1話1話噛み締めるように読んでいたので、寂しいやら感慨深いやら……。リクエストもたくさん引き受けていただき、感謝しかないです。本当にありがとうございました。作者様のますますのご活躍をお祈り申し上げます (2022年1月1日 16時) (レス) @page49 id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - 白鷺さん» 我儘を聞き入れて頂き、ありがとうございました……(o_ _)oﾊﾟﾀｯ(昇天) やっぱり作者様の描くヒーロー達が大好きだなと再確認しました。たくさん読み返します。本当にありがとうございましたm(_ _)m (2021年12月4日 7時) (レス) @page43 id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
白鷺(プロフ) - パトさん» 大変お待たせ致しました。輪廻さんのお話を更新させて頂きました。久々の執筆となってしまいましたので上手く書けているのかは非常に不安ではあるのですが、お気に召しましたら幸いです。 (2021年12月3日 20時) (レス) id: 385719bc4e (このIDを非表示/違反報告)
白鷺(プロフ) - パトさん» 長らく更新停止している中コメントを頂き本当に感謝致します。小説とは別の創作に於いて大きなイベントがありまして……ですがそちらも一段落しましたので、これから少しずつ再開していきます。輪廻さんのお話、準備を進めております。近日中に必ず更新させて頂きます。 (2021年11月29日 17時) (レス) id: 385719bc4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白鷺 | 作成日時：2021年4月23日 21時
