54*お見舞いなのか妨害なのか ページ7
Aside
｢賢ちゃんたいじょーぶ？｣
物凄く不機嫌そうに眉間にシワを刻む賢ちゃんと、物凄く楽しそうにキャピキャピする太一。
部活終わりに一緒に来てお見舞い中。
差し入れを買ってくれたりと何だかんだで仲間思いな良い奴だ。
私はリンゴの皮をむき、賢ちゃんはウサギさんっぽいからウサギりんごにした。
｢賢ちゃん食欲はある？｣
｢ある。昼もちゃんと食ったから。｣
りんごを差し出せば食べてくれるから安心しつつ、太一に飲み物とお茶菓子を出してから自分もお菓子を食べる。
鈴の音が近付いて来て、私の膝に乗った。
ミャアと高い声で鳴く黒猫に視線が向く。
｢お、猫！
名前なんて言うの？｣
｢あずきだよ。
賢ちゃんの監視役してもらってたの。｣
手を伸ばした太一に擦り寄る我が家の愛猫は人間が大好き。
賢ちゃんの事も好きで、あずきを触ってる時に優しい顔をする賢ちゃんの事を私は大好き。
太一に撫でられて満足したのか、ピョンと跳ねて賢ちゃんが座るベッドに乗り膝の上に丸まり眠りに就いた。
｢よし、俺帰るわ。｣
｢気をつけてね｣
｢部の方よろしくな｣
｢え？誰も引き留めないの？太一君泣いちゃうよ？｣
来て30分くらい居たのかな？
今日の部活について賢ちゃんに話してたし、風邪を移すのも良くないから引き留める気はなく。
丁重にお見送りをする為に賢ちゃんを部屋に残して家の外へと。
｢賢二郎よろしくな｣
｢任せて！｣
｢俺にまたねのチューは？｣
｢バカじゃないの。
えっ…ちょっと…真顔で迫って来ないでよ！｣
怠慢な動きで190ある男に迫られると若干の恐怖を覚えるも、からかってるのだろうニヤついてやがる…
｢え…嘘でしょ。
新しい男…!?｣
二人で声がした方に視線を向けると、部活帰りなのか徹先輩があわあわした顔でこちらを見ている。
確かに家の前通らなきゃ徹先輩のうち行けないけど…タイミング！
｢そーっす、Aの新しい男です。｣
｢え…白布ちゃんは？
…お前いつからそんな軽い女になったの…｣
｢ちょ、太一は真顔やめて！
って言うか違うから!!｣
｢おい、玄関先で騒いでんなよ。
…何してんの？｣
｢｢｢ヒィ!!｣｣｣
玄関先で壁ドンされる彼女と親友と、それを見ていた元彼氏。
…目撃しちまった彼氏の氷点下な表情。
｢賢ちゃん違うの、悪いの太一！
太一のばか！
徹先輩も彼氏は賢ちゃんだから気にせず帰ってください！｣
｢へぇ、そうかい。｣
｢圧が凄い…誤解だからぁ｣
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作者名：モカ
| 作成日時：2020年4月10日 21時
