ツンデレ王子と白鷲のお姫サマ[白布賢二郎]

27*こどもの日。鷲匠さんの話。 ページ28

12月24日


｢Aの事は好きだよ。
好きだけど部活に集中したいから別れてほしい。｣

｢…なんでわざわざ今日言うんですか？
集中したいなら春高予選の負けた後とかに言ってくださいよ｣

｢お前に忘れてほしくないからね。
待っててほしい。｣


｢…待たない…
バレー頑張ってください。｣


酷い男だと思う。
イブなんかに別れを切り出して…
好きだから悲しかったけど、今この人の前では泣きたくなくて堪えた。

部活で忙しいのは分かっている。
勝ちたいって気持ちも知ってる。

バレーと私どっちが大切？なんて分かりきったセリフを言った事もない。
徹先輩の都合に合わせて会う事にも文句は無かった。


部活優先で良いし、繋がりがあるだけで私は待てたのに。
裏切られた気分に浸り、この人の中で私の存在はもう必要の無い物になったんだと思う事にして全ての連絡手段を断った。





12月25日



目の腫れが気になるし、昨日の今日で元気も出ず。
それでも冬休みの補講日に出なきゃいけないから重い体を引き摺っての登校。

今日がクリスマスだからみんなどこかソワソワしていて幸せそうな顔。
学校終わったら恋人と過ごすのかなぁと、飴を口に放り込んだ。

授業が終わると皆は帰っていく。
家に帰っても予定が無いから、教室に残り少し時間を潰す事にした。
出掛ける約束をしていたのに、本当最悪のタイミングでふってくれた…



…気づいた時には外がどっぷりと更けていた。
やばい、寝落ちしてしまった…


｢起きた？｣

｢…白布、君？｣


前の席に私が読んでいた本を読む白布賢二郎の姿があった。

居るはずのない、居ると予想も付かなかった人物に驚きが隠せないし、それを感じ取られたのかじっとした目に見られている。


｢６時…
なんでここにいるの？｣

｢部活のあと、忘れ物に気付いて戻って来たらお前が居たから。｣

｢…そっか。｣

｢嘘。今日様子おかしかったから心配で来ただけ。体調でも悪い？｣


この人の声は落ち着いていて好きだなぁ。
優しいんだよ、私と話す時の声。

白布君とは太一つながりで話す様になり、クラス内では同じグループに居る。
真面目でクールで頭が良いから質問すると分かりやすく教えてくれる人。


｢何かあった？｣


気に掛けてくれた事、いつもより優しい声と少しの圧にふられた話をした。
情けなくてちょっと恥ずかしいし泣きそ


｢勿体ねぇ事したな、元彼｣

｢慰めてくれるの？｣

｢…まさか。
俺はそこまで生易しくない。｣

28*こどもの日。白布君の話。→←26*こどもの日。賢ちゃんまだかなぁ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す