ツンデレ王子と白鷲のお姫サマ[白布賢二郎]

20*擦りむいて送られて ページ21

｢お前、バカだろ。｣

｢返す言葉も無い…｣


私の前に跪く…否、しゃがむ賢二郎さんに膝の手当をされております。


数分前ギャラリーでの練習？見学を終えて帰ろうとしていた所で転んで膝を擦りむいた。
しかも練習が終わった男子バレー部に見られると言う…

１番近くにいた牛島さんに｢大丈夫か？｣と立たせてもらい、非常に恥ずかしかった…



｢あららーAちゃんダイジョーブ？｣

｢大丈夫だけど痛いです。
ごめんね、けんじろー…｣

｢お前がどんくせぇのは知ってるから。
歩けるか？｣


天童さんはね、転んだ時に笑ってたの知ってるからね！もう！
恥ずかしい…


｢歩くのは問題ないよ。｣

｢ん。なら良い。｣

｢やっぱり歩けないからおんぶか抱っこして。｣

｢…｣


お前何調子乗ってんの？って思ってそうな顔で見られてるよ、これ。
いま一瞬の安心した顔に調子に乗りました！

絆創膏を貼られて賢二郎の手は離れた。
ちょびっと擦りむいただけだから、部活には支障なさそう。
足首を捻らなくてよかった…とホッとする。


｢A、お待たせ。
カバンと着替え持って来たから、体育館の更衣室借りて着替えなよ。｣

｢お前何も持ってないよな。
Aの荷物持ってるの俺だからね？｣


藍ちゃんは雨だし歩くのが大変だろうと太一を連れて陸上部の更衣室まで行ってくれ、ありがとうしかない。
太一も肩濡れてるじゃん。


｢ありがとう、藍ちゃん、太一。｣


雨だからおじいちゃんに家まで車で乗せて貰おうと思ったが、まだやる事が残ってるらしくタクシー代をもらってしまい…
バスで帰るから使わせてもらおう。


ジャージから制服に着替えて、寮に帰る藍ちゃん達と別れ…


｢送ってく。｣

｢バス停までね。｣

｢…分かってる。｣


ぶっきらぼうながら私のバックを持って傘を指してくれる賢二郎に寄り添っての帰り道。

学校から駅までの数分だけどこの時間を心待ちにしている自分がいる。


｢私も寮が良いなぁ。
バイバイするけど、バイバイしなくて良いでしょ。｣

｢…意味わからない。｣

｢帰る場所が一緒って合宿みたいで楽しそう。｣

｢そんなもんか？｣

｢そんなもんです。｣


バイバイしないで一緒に寮に帰って、顔を見てお休みを言えるのが羨ましいと思う。
消灯時間とか門限はあるだろうけど、友達と居られるの楽しそう。


｢泊まりに行って良い？｣

｢停学になっていいなら、来たら｣

｢もう。
あ、ちょうどバス来た。
送ってくれてありがと｣

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