追いかけた先、気づいてたこと。 ページ9
「俺の感情無視かよ。」
表情は変わらない、けれど確実に怒りを帯びた声だった。
「そうだね、僕が傷つきたくないから。」
「俺が傷つくって思わないのかよ。」
「思ったよ。でももう遅い。」
こぼれてしまった答えを、ひっくり返すことはできないのだから。
肯定も否定もしないけど。
きみとの距離感を変えることはしない。
「だって先生だもん。」
「だからなんだよ、だったらなんなんだよ! あんた少しくらい俺の話を聞けよ!」
ついぞ怒った竜くんは僕の胸ぐらを掴んだ。
ここが、基本僕しかこない例のサボり場でよかったね。
他の先生に見つかったら罰則ものだよ、きみ。
ああでも、尊人くんあたりはひょっこりくるかもしれない。
逃げてるつもりなのに、どうにも僕を見つけるのがうまいんだ。
そんなことをつらつらと言って、カラカラと笑う僕。
なんか壊れてるみたいだね。
「んな、そんなことどうでもいいんだよ!」
「よくないよ、きみは生徒だ。」
「その生徒が! あんたのこと好きなんだよ! 少しくらい気づけ!」
「え、」
「嘘じゃない。勢いでもない。」
ちゃんとずっと、見てた。
あんたが俺のこと追っかけてくることも知ってた。
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作者名:シラハマ00 | 作成日時:2020年4月29日 2時