美味しいとは、そういうことだ。 ページ2
顔が良ければ、中身が残念でいいとは。限らないと思う。
例えば…そうだな。
ハンバーガーが、具だけじゃダメなのと同じように。
それが”王子”というのなら。なおのことだ。
“迎えにきてくれる王子”が、中身ポンコツとか悲しいじゃん?
「葵くん、ガブくん。これから理事長室ですか?」
あいも変わらず人の名前だけは覚えられない、和装の彼は。
一瞬確かに眉をひそめて、だけど今日も思い出せなかったんだろう。
僕の名前は言わないままに肯定の返事があった。
密やかにガブくんが僕の名前を教えてたけど、諦めているから平気よ。
…なんて。
忘れてるから今更すぎるか、心の中で苦笑をする。
さて。
目的地は僕も一緒だし、彼の手間を省くというのは悪いことではなかろう。
「僕も目的地は同じなんだ、書類か…あるいは簡単な言伝だけなら承るよ?」
「じゃあ…、」
再び一瞬間があって、けれどそれは了承の意味だった。
…どうにもバタついてるのに、理事長は喜んでいる。
同じく結城先生も。なんか先日叫んでた気がする。
怖くて避けてしまったけれど。
確かにこれは好機だとは思うれど。
「もう少し…なんていうか。」
何か足らないよなあって、王子選手権の行く末を見守りながら思うのだ。
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作者名:シラハマ00 | 作成日時:2020年4月29日 2時