それは一房のオリーブ ページ4
「誰がそんな、」
「ちが、」
「じゃあなんで泣いてるんだよ!」
その顔は、全てを許したくないような顔で。
もしこれが思い違いでなければ。
僕のために、何かを投げ出してでも守ってくれるような。
そんな頼りがいのある顔と覇気。
ああ、僕はこんなすごい人に愛されているんだ。
僕はこんな人を放り出してしまおうとしたのか。
そんな勘違いを思い浮かべてしまったのか。
だのにあなたはどこまでも追っかけてきてくれて。
僕に希望を与えてくれるんだね。
暖かみを与えてくれるんだね。
こんな幸せなことはあるでしょうか。
こんな、こんなことってあるんでしょうか。
どこか夢のようでいてありえない気がしてしまって。
だけどその温もりも全部本当に、今、ここにあって。
「さみしかった、んだ、だけどね…?」
「…おう、」
「今は嬉しいんだ…?」
「嬉しい…?」
「うん。チハルに会えて、愛されてて。嬉しい。」
うまく紡げない言葉を一つ一つ拾ってくれるチハルは。
どことなく腑に落ちないようだったけれど。
でも僕が"傷ついたのとは違う"ことを理解すると、飲み込むようにして。
「そっか。」
Aがそれなら、それでいい。
改めて僕をただ抱きしめて。
頭を撫でてもらった。
そのあったかい、ちょっとゴツゴツした"チハルらしい手"で。
その傷口を癒すように。
その日陰を覆うように。
その氷を溶かすように。
ただただ、その暖かさに甘んじていた。
しかしこの場所はイトカンで。
終止符はナオミちゃんによって訪れた。
ようは「リア充は外でやっておけ。」
たぶんそんな感じ。
TPOわきまえろ、みたいなそんな感じ。
もしや、これから他の山王のメンバーがくるかもしれないから。
ゆっくりしたくば、外に出ていた方が身のためだぞ。
って、そんなことだったのかもしれないけれど。
でもずっと抱きついたままなのも、ってことで。
二人、手を繋いで山王の商店街をぷらぷらと歩く。
あてはないんだけれど、ただ二人でいたくて。
どこか埋め合わせをするように。
慰め合うように。
言葉を多くは交わさなかったけど。
きっと明日はいい日になるだろうと確信できた。
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シラハマ00(プロフ) - 亜李須さん» コメントありがとうございます。亀更新ではありますが、どうぞよろしくお願いします。 (2019年9月1日 10時) (
レス) id: ae94c688cd (このIDを非表示/違反報告)
亜李須(プロフ) - このシリーズ楽しみにしてました！更新頑張ってください！ (2019年9月1日 10時) (レス) id: 99d7320faf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シラハマ | 作成日時：2019年8月30日 0時
