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煙に巻かれて ページ18

「噂は本当、っちゅう事か…、」
まったくイヤになるわ。

だなんて、ぼそぼそと口にしながら。
向い側に座るリュートくんは思考している。

その雰囲気は何ともいえない、形容しがたい重みがあって。
ハヤトは言外に"ゴメン"と言ってて。
リョータくんも苦笑して、だけどもしかし、自らの相棒には違う顔をするあたり。

僕には、"まだ"教える事の出来ない"ナニカ"を知っていて。
いくらバカな僕でも。
それはそれは、とてつもなくややこしい状況だと察する事が出来た。
想像に容易かった。



僕らが守ろうとする、街や仲間。
その他いろいろな物事に、
深い深い闇が覆いかぶさろうとしているんだろう。

僕たちは、やっぱり。
何度もこの拳を握って、あらんばかりの"暴力"で。
それらを守らなければいけないんだろう。


…たとえ、自分自身がいくら弱かったとしても。

この二人から得る情報、ハヤトから得る情報。
ノボルが自身で得てくる情報。
僕がもちうる全てのもの。

それらを利用して、僕は戦わなくちゃいけないんだ。
立ち向かわねばならないんだ。



きっとそれは、僕たち山王の仲間だけじゃない。
他のSWORDの人たちもそうなんだろう。

先ほど、キジーから連絡をもらってた事を気づいて。
やっとこさなんだろう事を察した。
先日街が爆発したんだ、ルードもてんやわんやだろう。

対立する立場の僕が、何かを心配するのは間違いかもしれない。
お人好し、だと、バカにされるかもしれない。


けれどもしかし。
何度も続くと考えたならば、だとしたら。
…"ガキ"と言われる僕たちは、無力でしかないのだろうか?

権力にはかなわず、経済力にもかなわないだろう。
だけれどこれからを生きていく僕たちには、
何も、何も出来ないのだろうか?



結局誰も、答えらしいものは分からず。
時間も時間だ、
今日の会合は強制的にお開きとなった。

そして店じまいの時間に合わせたかのように店長が戻り、
いつも通りチハルが迎えにきてくれて。
さて、普通に帰ろうと思っていたところだった。

「死ぬなよ、」

二人に。
僕らは言われるのだった。
それは本当に何も終わってない事と、待ち受ける事の大きさを。

説得させん、と。言わんばかりの。

協定→←壁に耳あり障子に目あり



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作者名:シラハマ | 作成日時:2019年4月5日 5時

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