白豚だって恋をする。【爆豪勝己】 (ページ24)

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どうしてこんなことになったんだろう。

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夕暮れに染まった景色の中、私は愛洲さんと帰路についていた。

「一昨日の体育祭、すごかったね」

「爆豪くんが、じゃなくて⁇」

「そっ、それもそうだけど‼」

揶揄うような口調の愛洲さんに、思わず感情が高まって大きい声が出てしまう。

土曜日に行われた体育祭。

言わずもがな、爆豪くんの独壇場と化してしまったが。

1500m走は全校で一位、
リレーでは歴代最高記録を叩き出し、
騎馬戦ではものの数分で敵の大将を下した。

最早、折寺中学校の伝説だ。

もちろん彼の活躍の甲斐あって、私たちのクラスは優勝できた。

「まあでも…ライバルは確実に増えたよね」

と苦笑気味に言う彼女の言葉は、厄介なことに本当のことだった。

実行委員という役柄故か、彼は応援団になったのだ。

点数とは関係ないが、士気を上げることを目的とした恒例の催し。

それをあの爆豪くんがするとどうなる⁇

結果、ファンクラブができた。

プロポーション、並び運動神経抜群。

綺麗な肌に整った顔立ち。

多少難ありな性格も、フエを咥えれば関係ない。

……可笑しいことではない。

彼は黙ってさえいれば誰もが認めるイケメンなのだから。

「爆豪くん、好きな子いるのかな」

「私には全く想像できないけど」

なんて、いつもと変わらぬ通学路を歩く。

今は下校のピークの時間帯ではないからか、全くと言っていい程に人が少ない。

「……?」

筈だった。

ジロリ、気味の悪い視線がうなじに突き刺さり私はゆっくり振り返った。

愛洲さんも何か感じ取ったのか、背後に視線を向けるも人の姿はない。

「…まあいっか。それでさ、今日爆豪くんがラブレター貰っててー」

「えっ!?」

「一瞬で燃やしちゃったんだよね。聞くと『女には興味ねェ』ってさ」

「あ、すごい言いそう」

この異様な雰囲気を紛らわそうと話を再開するも、嫌な予感は拭いきれず。

更に人気のない道へ入った時、その元凶が現れた。

「ごめんなァ」

そう言った男の手には、ナイフ。

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最悪、その言葉に尽きる。

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