story.52 ページ2
「おい、A…どこまで行くんだ、」
黙々と楽しそうに歩くAの横顔を見ているのも楽しいかと聞かれれば楽しい。
しかしいつまでも目的地を明かされずに歩き続け、五分は経っていた。
果たしてどこに行くのだろうか。
するとAは、ぱっと俺を見上げた。
「ついた！あそこ！」
Aが指さす先を見てみれば、果たして何の店かわからないが洒落た外装の小さな店だった。
「前来た時にね、見つけてね…」
「…？ああ…？」
何を見つけたのかわからないまま相槌を返す。
ドアを開けると、アンティーク調の内装で女性受けの良さそうな小物が沢山並んでいる。
どうやらここは所謂雑貨屋、といったところだろう。
「あっ、まだあった！ほら、焦凍くん見てこれー！」
にこにこしながらAは手に取った物を見せてくる。
なんだなんだと見てみれば
「………うさぎ？」
「そう！赤と白のペアになってるの！」
赤と白のペアになっている、体長五センチ程のうさぎの可愛らしいキーホルダーだった。
Aの持ち物などを見る限り、うさぎが好き、というのはかなり、というか結構意外だった。
見た目は可憐で可愛らしいくせに、見た目にはそぐわない物を好むのが目の前の彼女である。
そもそもこんな店を知っているのがまず意外だった。
「あ、あのね、見つけた時に焦凍くんみたいだなーって…それで、その、見せたくて……」
くだらないよね。ごめんね、付き合わせちゃって。
と恥ずかしそうに笑う彼女は何かもう可愛かった。
うさぎだからじゃなくて、俺みたいだったから、って…。
「……その、それで、焦凍くんが良ければ一緒に持ちたいなあって……」
少し不安気に上目がちでこちらを見るA。
これで無意識か…と軽く悶えながら、Aの手からキーホルダーを受け取った。
「いいよ。一緒にもとう」
「ぅ、あ、まって！さっき奢ってもらったし私が払うっ…！！」
「気にすんなってば、」
「ち、ちがう！」
Aがあまりにも必死に引き留めるので振り返ると、Aは慌てて駆け寄ってくる。
「わ、私いつも焦凍くんに貰ってばかりだから、何か贈りたいの。」
だから、お願い。
なんて、そんなこと言われたらこっちが折れるしかない。
「…ああ。わかった。」
そう言うとAは嬉しそうに笑いキーホルダーをレジへと持っていく。
そんな彼女の後ろ姿を眺めていた。
「……妹みてえ。」
何だか無性に愛おしくなった。
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ほのか - 初めまして。とても面白かったです。長らく更新されてなくて寂しいですが、気長に待ってます！！ (2017年10月29日 21時) (
レス) id: 3427580561 (このIDを非表示/違反報告)
橘いおり(プロフ) - とても面白かったです！更新待ってます！ (2017年9月30日 1時) (レス) id: 1b6221fb6d (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - 物部さん» 初めまして。ありがとうございます。少しずつですが頑張りたいです。 (2017年1月13日 17時) (レス) id: 213000a954 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - +*Aki ♯μ’sic forever♪♪♪さん» ありがとうございます。その後の模試でB判定になっちゃったんですけどね笑 少しずつですが頑張ります。 (2017年1月13日 17時) (レス) id: 213000a954 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - ゆっきーさん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年1月13日 17時) (レス) id: 213000a954 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桔梗 | 作成日時：2016年6月19日 22時
