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まだどきどきするけれど、手を繋ぐのにも段々と慣れてくる。
病院の近くの駅から電車に乗り、賑やかな駅までやってくると、人通りも多くなる。
駅までつくと、焦凍くんは立ち止まった。
「…何食べたい」
「…うーん、お蕎麦」
そういうと焦凍くんは少し吃驚して、本当にいいのか？と聞き返す。
私はそれに、お蕎麦が食べたいとだけ返すと、焦凍くんは、それなら美味しい店があるんだと私の手を引いた。
少し歩いて、大通りを通り過ぎる。
人通りが少ない道を通ってやってきたのは、随分穴場なお蕎麦屋さん。
こういうお店にはあまり一人で入らないから、少し緊張しながら焦凍くんと暖簾をくぐる。
カウンター席しかないお店で、奥の方の席に一人だけお客さんがいる以外は、店主らしき男の人と、店員の女性一人しかいない。
「笊蕎麦二つ。」
「かしこまりました」
畏まって椅子に腰掛けていると、焦凍くんは少し笑って何やってんだ、と私の隣に腰掛ける。
「外食、あんまりしなくなったから」
「そうか。」
「落ち着くお店だね、私好きだぁ」
焦凍くんはすこし嬉しそうにああ、と頷く。
「お待たせしました」
運ばれてきた笊蕎麦をするすると口に運んだ。
「…あ。美味しい」
「たまたま見つけて、それからたまに来てる」
焦凍くんは蕎麦を啜る手を休めない。
私も口に運ぶ手が止まらない。
なんだか素朴な味が癖になる蕎麦だった。
あっという間に食べ終わり、会計は割り勘にしようと言ったが、焦凍くんに止められ渋々引き下がった。
つまり、昼ご飯は焦凍くんの奢りである。
大変申し訳ない。
「しょ、焦凍くん…！お金返すよ！」
「いい、そんなに金使うこともねえし、二人分くらい問題ない。…それに」
焦凍くんはちらりとこちらを見下ろすと、言葉を区切った。
「…それに？」
「こういうのは男が持つもんだろ」
少し微笑んでそう言い放つから、頭の中が真っ白になる。
「……あーもう…ほんとに、君はかっこいいな」
そう呟いて、空きっぱなしの彼の手にそっと触れてみる。
それに気づいた彼は、戸惑いがちに指を絡めた。
「ん…次はどこ行きたい」
「んー……あ、ちょっとだけ寄りたいところがあるんだけど」
「…？どこだ？」
まあついてきてよ、と彼の腕を引っ張って、今度は私が先導しながら大きな通りを歩き始めた。
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ほのか - 初めまして。とても面白かったです。長らく更新されてなくて寂しいですが、気長に待ってます！！ (2017年10月29日 21時) (
レス) id: 3427580561 (このIDを非表示/違反報告)
橘いおり(プロフ) - とても面白かったです！更新待ってます！ (2017年9月30日 1時) (レス) id: 1b6221fb6d (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - 物部さん» 初めまして。ありがとうございます。少しずつですが頑張りたいです。 (2017年1月13日 17時) (レス) id: 213000a954 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - +*Aki ♯μ’sic forever♪♪♪さん» ありがとうございます。その後の模試でB判定になっちゃったんですけどね笑 少しずつですが頑張ります。 (2017年1月13日 17時) (レス) id: 213000a954 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - ゆっきーさん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年1月13日 17時) (レス) id: 213000a954 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桔梗 | 作成日時：2016年6月19日 22時
