潮騒～Sound of Waves～ 6 (ページ24)

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232 昨夜の名残りページ24

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初めて入る、にのくんの部屋。

にのくんは一人先に部屋の奥へと入って行くから、どうしようかと私がそこでそのまま佇んでいたら。

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「何突っ立ってんだよ、上がれよ」

私を振り返りながら当然のようにそう言われて、私は慌てて靴を脱いだ。

「お邪魔、します…」

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必要最低限の家具しかないシンプルな空間。

さっきまでいた潤くんの、CDや本、洋服なんかの物が溢れている部屋とは対照的だった。

部屋の造りも広さも同じはずなのに、にのくんの部屋の方が随分と広く感じるのは物が少ないからなんだろうな。

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部屋の中はカーテンが閉じられたままだったから、薄暗い。

何だかそれは、昨日の夜の名残りのような。

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にのくんがケイコさんの部屋に行くためにここを出た時のまま、時間が止まってるような気がして切なくなる。

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にのくんが勢いよくカーテンを開けると、朝陽が部屋の中へと射し込んでベッドの横に置かれた電子ピアノを照らし出した。

にのくん、ピアノ弾けるの？

そんなこと知らなかった私はびっくりしたけど、今は雑談できる雰囲気でもなくてその場に座った。

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何から話せばいいんだろう。

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「…俺もケイコの部屋にいたワケだしお前にとやかく言える立場じゃねぇんだけどさ」

にのくんはタバコに火を着けて、私から顔を背けてフーッと煙を吐き出した。

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「今まで俺がどんだけ誘ってもうちには来なかったくせにさ、何で潤だっけ？…アイツんとこには行ってんのよ」

「…大事な話があるって言われて」

「大事な話って？」

「、…それは…

で、でもまさかにのくんの部屋が潤くんの部屋の隣だったなんてね！すごい偶然だよね、潤くんからはケイコさんと同じマンションだって聞いてはいたんだけど」

「…ハァ？」

「？」

「俺最初に言ったじゃねーかよ、ケイコのマンションに空きが出たからそこに決めたって」

「え！？ウソ！！」

「嘘じゃねーよ！嫌がられるかなって思いながら話したのにさ、ふーん、ってお前全然反応ねーし。

つーか聞いてんのか聞いてねぇのかわかんねぇ返事だったけどさ、お前やっぱ聞いてなかったんだな」

「全然、覚えてない…」

「だろーね。俺がいくら遊びに来いよっつっても返事は上の空だったしな」

「ゴメンナサイ…」

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にのくんは、唇を尖らせて私を睨んだ。