潮騒～Sound of Waves～ 6 (ページ18)

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226 初恋の人＊Jun＊ページ18

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「実はねぇ、潤くんって私の初恋の人にすっごく似てるんだよねぇ」

突然、Aちゃんは何の脈絡もなくそう言って、ヘラっと笑った。

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「マジで？笑」

「うん」

「それは光栄だけどさ、Aちゃんの初恋っていつの話？笑」

「中学生の時」

「へぇ」

「去年の夏までずっと好きだったの。失恋しちゃったんだけどね」

「結構長い片想いだったんだな」

「しかもアイツは私が好きだったことも知らないし。私が勝手に好きになって勝手に失恋しただけだから」

「…告白しようとか思わなかったの？」

「うん、私の友達のことが好きって知ってたから。…私は協力してあげてたの」

「なるほど」

「ちょっと意地悪なんだけどすごーく優しくてねぇ、ホントにねぇ、すごーーーーーーーーーく潤くんに似てるの」

「まぁ、その言い方ですげぇ似てる感じは伝わってきたけど。笑」

「それ！その顔！そうやって笑ったとこなんてホントにそっくりなの。だからなのかなぁ、潤くんには何でも話せちゃうのは。

初めて潤くんに会った時、私びっくりし過ぎて固まっちゃったもん」

「あー、…そう言われてみれば」

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初めて俺がAちゃんと顔を合わせたのは、店のロッカールームで着替えてる時だったっけ。

確かにあの時のAちゃんは挙動不審だったけど、それは俺が半裸だったからだとばかり思ってた。

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なんだ。

じゃあ俺、Aちゃんのタイプってことか。

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にのくんってヤツと俺は全く似ても似つかないし、Aちゃんとケイコさんもタイプが全然違う。

Aちゃんとは、お互いに異性としてっつーか、恋愛対象としてっつーか、今まで特に意識したことはなかったはずだったんだけど。

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でも、初恋の人に似てるって言われて悪い気はしない。

寧ろ、思いの外嬉しくて顔が緩む。

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こういう言い方をするとさ、高飛車ですげぇヤなヤツって思われそうだけど。

正直、女の子から気のあるそぶりをされることは、俺にとって珍しいことじゃない。

だからいつもならそんないちいち響かないっていうか、まぁ、嬉しくはあるけどそれだけっていうか、その程度のことなのに。

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なのにAちゃんの初恋の相手に似てるって言われたことに、なぜかガキみたいに心踊った。

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思い返すと。

Aちゃんのことを少し意識するようになったのは、これがきっかけだったのかもしれなかった。