潮騒～Sound of Waves～ 3 (ページ26)

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108 名前ページ26

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にのくんのその言葉を聞いて、今までのらりくらりと躱していた彼らの目つきが急に鋭く尖る。

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「…余計な意見書出しやがったのはやっぱりお前らだったんだな」

「……」

「もしかしたらとは思ってたけどやっぱりそうか。…おい、あんまり調子に乗んなよ？」

「調子に乗ってんのはどっちだよ」

「そんなイキがってて大丈夫？俺らがこの子にストーキングなんてしちゃっても知らないよ？笑」

「お前ら…」

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にのくんが睨み付けながら一歩前ににじり寄ると、男は一歩退いて急に猫なで声を出す。

「いや、ほら、だからさ、例えばの話だろ？ンなことしないってー。冗談だっつーの。…あ、これ返すよ。飲む？笑」

そして勝手に自分が飲んでいた私のアイスティーを、私に差し出した。

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私は無言で首を横に振る。

そんなの、もういらない。

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「…言っとくわ。これが最後だからな。こいつに手ぇ出してみな？大学にもいられないようにしてやる」

「、…だから何もしねぇって言ってるだろ」

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彼らはにのくんの静かな気迫に圧倒されたのか顔に作り笑いを浮かべて、酔いが覚めたなぁと呟き何もなかったかのように立ち去ろうとする。

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「ごめんね、Aちゃん」

私の前を通り過ぎる時、もう一人がそう言って。

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まさか謝られるとは思っていなかったから、ちょっと戸惑ったけど。

二人は私の返事なんて聞かずに公園から出て行ったから、大きなことにならずに済んで私はホッとした。

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この時の私は気が動転していて、自分の名前を彼らが知っていたことに不信感を抱く余裕はなかった。

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「…Aちゃん、大丈夫？それ一つあげるから飲みなよ。落ち着くから」

相葉さんが私の手からアイスコーヒーのカップを一つだけ受け取ってそう言う。

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「いえ、大丈夫です。すみません、巻き込んじゃって。…でも、いてくれてよかった、…です。ほんとに、ありがとうございました」

「バッグの中、確認してみろよ」

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そう言われて私はにのくんからバッグを受け取り、中を見る。

お財布の中まで全部見たけど、無くなった物は何もなかった。

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「とりあえずよかったね！で、メイちゃんは？ここに来るの？」

「あ！！駅です、どうしよう、さっきの人達と一緒になったら、」

「え、やべぇじゃん！！俺行って来る！！ニノ、Aちゃんをお願い！！」

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相葉さんはそう言うと、疾風のように駆けていった。