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第二十一話 ページ27

「百鬼丸!」

水溜まりを蹴りながら、百鬼丸の後を追いかける。

(近くにいる…それに、この臭いは…)

すると、急に百鬼丸が足を止めた。

どろろ「おい兄貴、急にどうしたんだよ…うっ」

追いついたどろろが目の前のものを見て息を呑んだ。

どろろ「な、なんだよ、これ…どうしてこんな…」

道の先には、無惨にも斬られた無数の死体が転がっていた。

Aが嗅ぎ付けたのは、この血の臭いだった。

バシャッ

百鬼丸が血溜まりの中に義手を落とす。

「っ来る」

キィィイン

直後、刀と刀がぶつかり合う音がした。

見れば、どこからか出てきた白髪の男が一本の刀を手に百鬼丸に斬りかかっている。

Aは気配を察したのち、どろろを抱えて退いていた。

どろろ「おい、いきなり何すんだよ。これはあんたの仕業か!」

田之介「この刀が血を欲したのだ…故に斬ったまで」

百鬼丸から目を話すことなく、男が言う。

どろろ「刀が血を欲しがるだぁ?馬鹿言うんじゃねぇよ!」

田之介「ただの刀ではない…人の血を吸う生きる妖刀よ」

(妖刀…ああ、だから…)

Aの右目には、男は白い炎として写っていた。

しかし刀自体が鬼神と同じであるため、赤黒く写っていたのだ。

もちろん、百鬼丸にも同じように見えている。

男が再び百鬼丸に斬りかかる。

雨が降り頻る森の中、鋭い金属音だけが響いていた。

圧され続けた百鬼丸は、遂に崖の淵まで来た。

後ろに下がることはできないので、その場で立ち止まる。

それを見た男は刀を構え、百鬼丸の足に突き刺した。

だが、刺されたのは左足。

刀が貫通すると、百鬼丸は義足ごと妖刀を振り上げ、その場でしゃがみ込む。

すると、百鬼丸の後ろからAの強烈な蹴りが飛んできた。

男はそれをひらりと避け、崖の下へと落ちていった。

「チッ、外したか」

悔しそうに舌打ちすると、どろろが百鬼丸の義手を抱えて走ってきた。

「どろろ、悪いが百鬼丸の足を探してきてくれないか」

どろろ「ああ、分かった」

どろろは義手を置くと、踵を返し義足を探しに行った。

それを見届けてから、Aが百鬼丸の方を振り返る。

百鬼丸の頬には切り傷がついていた。

「切られたのか…先生にもらった薬があるから、それで手当てしよう」

頬を触る百鬼丸の手に、自分の手を重ねる。

手際よく切り傷に薬を塗ると、百鬼丸が表情を歪めた。

「これが“痛い”ってやつだ…いつになっても慣れるものじゃないな」

Aが苦笑する。

それから暫くしたが、どろろは戻ってこなかった。

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輪廻 - めっちゃ面白いです!(^ ^) 続きを楽しみにしてます! これからも頑張ってください! (2019年7月11日 12時) (レス) id: bf927136c6 (このIDを非表示/違反報告)
- 何が総合2位wwオリフラ立てたからじゃん (2019年6月27日 20時) (レス) id: 50d994e323 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい。外されないなら違反報告します (2019年6月27日 18時) (レス) id: c56aad1eeb (このIDを非表示/違反報告)
姫鬼(プロフ) - siriusuさん» ありがとうございます、励みになります!! (2019年4月15日 19時) (レス) id: 72603904b9 (このIDを非表示/違反報告)
siriusu(プロフ) - とても面白いです!続き凄く気になります!更新頑張って下さい!q(^-^q) (2019年4月3日 16時) (レス) id: ee4308919b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:姫鬼 | 作成日時:2019年2月17日 11時

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