第十四話 ページ18
久し振りに豪華な夕食を食べ、A達は馬小屋の藁に敷かれた蓙で休んでいた。
どろろ「いやぁ、極楽、極楽〜。あんなに飯食ったの、久し振りにだぜ」
腹にたらふく飯を詰め込み、どろろは幸せそうだった。
どろろ「そういや、Aの姉ちゃん全然食ってなかったな。腹減らねえのか？」
「少し食べれば充分だ。あれだけ食べれば、長くても一週間はもつ」
どろろ「えぇっ、そんなに！？不思議だな、オイラだったらぜってー死んじまう」
「その方がいい」
どろろ「なんでだよ」
どろろが首を傾げる。
「その方が、食物のありがたみを知れるだろ。…私は普通の人間とは少し違うから…人の気持ちを理解できない時もある」
どろろ「ふぅん…そういや、姉ちゃんて…」
ﾁﾘｰﾝ…
どろろの言葉を遮るように、鈴の音が鳴った。
そして、風が吹いてもいないのに燭台の火が消え、辺りは月明かりに照らされるだけで薄暗くなった。
音もなく馬小屋の扉が開く。
どろろ「あ…！」
どろろが小さく声をあげる。
扉の外にいたのは、頭の大きい妖だった。
どろろ「で、出たぁ！」
ついにどろろが叫び声をあげる。
妖は中に入って百鬼丸達に近付くが、百鬼丸は動こうとしなかった。
『やろうか…？』
妖が人語を話したので、どろろは更に驚く。
どろろ「ほ、ほら、やるかって言ってる！なあ、この前みたいに退治してくれよ！」
どろろは百鬼丸の義手を抜こうとするが、上手く抜けずにもがいている。
どろろ「姉ちゃんも手伝ってくれよ！」
Aに声をかけるが、当の本人はどろろの言葉に耳を傾けようとせず、ただ目の前にいる妖を見つめていた。
暫くしてから、妖は何もすることなく、鈴の音を鳴らしながら外に出ていった。
どろろ「あ、待て！おい兄貴、行っちまったぞ！」
どろろは閉められた扉を指さすが、それでも百鬼丸とAは動こうとしなかった。
男「どうかしましたか。化け物が出ましたか」
馬小屋の奥から、先程の村人が出てくる。
どろろ「ああいや、今日は様子見だ。なんともねぇよ」
男「左様でございますか」
男は燭台に灯を灯すと、再び馬小屋の奥へ消えていった。
どろろ「…ったく、なんで兄貴も姉ちゃんも動かねぇんだよ！化け物倒さなきゃ、褒美が貰えねぇじゃんかよ！」
男がいなくなったのを見計らって、どろろが叫んだ。
しかし、Aはそのことを聞く素振りも見せず、「静かにしろ。夜中だ」と言い、どろろに背を向け、寝に入ってしまった。
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輪廻 - めっちゃ面白いです！(^ ^) 続きを楽しみにしてます！ これからも頑張ってください！ (2019年7月11日 12時) (
レス) id: bf927136c6 (このIDを非表示/違反報告)
響 - 何が総合２位wwオリフラ立てたからじゃん (2019年6月27日 20時) (レス) id: 50d994e323 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい。外されないなら違反報告します (2019年6月27日 18時) (レス) id: c56aad1eeb (このIDを非表示/違反報告)
姫鬼(プロフ) - siriusuさん» ありがとうございます、励みになります！！ (2019年4月15日 19時) (レス) id: 72603904b9 (このIDを非表示/違反報告)
siriusu(プロフ) - とても面白いです！続き凄く気になります！更新頑張って下さい！q(^-^q) (2019年4月3日 16時) (レス) id: ee4308919b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：姫鬼 | 作成日時：2019年2月17日 11時
