出会いの話を聞かせて ページ12
T side
大学も夏休みに入り暇を持て余していたある日、慧がいきなり質問を投げかけてきた。
in「…そういや、裕太って宮田さんとどうやって知り合ったの？
俺が、裕太が宮田さんのファンって聞いた時にはもう付き合ってたんでしょ？」
「あー、そうなるねぇ。」
そっか、慧にはとしくんとのいろいろは話してなかったんだっけ。
in「ね、どうなの？俺みたいにコンサートがきっかけ？」
「ううん、違う。俺としくんのこと会うまでほぼ知らなかったし。
えっと、今も働いてるバイト先のカフェに、たまたま来たのが最初…かな？」
そう、としくんとの出会いは、俺が高3だった5年前まで遡る。
ーーーーーー
俺のバイト先はこじんまりとした隠れ家的カフェだったのだが、店長も副店長もイケメンということで何かと話題だった。
F「あっ、タマさ、今度の金曜ってシフト入ってたよね？」
Ki「実はさぁ、その日、テレビの取材が来るらしいんだけど…その辺大丈夫？」
シフトを聞いてきたのは副店長で料理担当のガヤ。
そして後から会話に入ってきたのが店長のミツ。
10歳近く歳は離れてるけど、あだ名で呼んでも何も言わない頼れるお兄ちゃん的存在だ。
「取材…俺はたぶん大丈夫だけど…。
えっ、どうせミツとガヤが映るだけでしょ？」
F「いや、なんかね、最近タマもイケメン店員がいる！ってことで噂になってるらしくて。
もしかしたら、タマにも話行くかもなーと思ってさ。」
「なにそれ…めんどそう。」
Ki「まあまあ、そう言わず！
なんかリポーターは最近人気の男のアイドルらしいし。タマちゃんと歳も近くて案外面白いかもよ？」
男のアイドルか…こういう仕事もやるんだ。
ま、変な女じゃないならなんでもいっか。
「別に…いいけどね。
俺に拒否権ないんでしょ？」
Ki「てへっ、バレちゃった？」
F「…北山、返しが古いよ。」
Ki「うっさいわ！(笑)」
まさか、この取材で俺の人生を変えるような出来事が起きるなんて、予想もしてなかった。
まさか、バイト先に取材に来た男のアイドルに、恋に落ちる…なんてね。
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作者名：しおり | 作成日時：2019年2月3日 22時
